科学・テクノロジー
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「ナスカの地上絵」AIで四つ特定 「人間なら20年かかる」山形大
2023/6/1 16:53 687文字南米ペルーの世界遺産「ナスカの地上絵」について、山形大ナスカ研究所と日本アイ・ビー・エム(IBM、東京)が共同で、AI(人工知能)の深層学習(ディープラーニング)技術を活用して、四つの地上絵を特定した。山形大が1日発表した。既存の地上絵をコンピューターに学習させることで、航空写真の中から自動的に新
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国内唯一「双子の図書館」存続危機 知られざる貴重な医療データ
2023/6/1 11:00 1652文字双子を専門にする国内唯一の研究機関「大阪大ツインリサーチセンター」(大阪府吹田市)が、存続の危機に直面している。今年度の運営費を確保できず、このままでは10年以上かけて集めた膨大な双子のDNAや血清などのサンプルやデータが失われてしまう恐れがある。双子の研究の意義を訴えるセンターは、なぜ危機に陥っ
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暮らしの中の科学
アジサイの色なぜ変わる? 土の酸性度だけじゃない未解明の謎
2023/5/31 10:30 820文字青、紫、ピンク、赤……。梅雨を彩るアジサイの色は七変化。「移り気」の花言葉を持つこの植物の色はどのように決まっているのだろう。 「最も影響が大きいのは土の酸性度。土の中に溶け出したアルミニウムを吸収する量の大小で色が変わる」。愛知工業大学の吉田久美教授(天然物化学)はそう解説する。 アジサイは日本
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落ちずに曲がる大谷翔平の魔球スイーパー スパコンで仕組み解析
2023/5/30 10:58 587文字米大リーグの大谷翔平選手の変化球「スイーパー」があまり落ちずに横に大きく曲がるのは、ボールの回転軸が進行方向に傾いているから――。魔球に隠されたこうした仕組みがスーパーコンピューター「富岳」による解析で分かったと、東京工業大などのチームが29日、発表した。軸が傾いていることでボールに浮き上がる力が
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人間に求める能力は? 全学生に生成AI配った東洋大学部長の思惑
2023/5/25 11:00 2643文字東洋大情報連携学部(東京都北区)は、利用が急拡大している生成AI(人工知能)「チャットGPT」の最新言語モデル「GPT―4」を活用した学内システムを開発し、4月から全学部生約1500人に利用を推奨している。生成された文章や画像がそのまま研究成果として出される懸念から、学生の利用に慎重な大学も多い。
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山口大教授、論文6本で研究不正の疑い 実験の画像データ加工か
2023/5/24 05:30スクープ 731文字山口大大学院医学系研究科の男性教授が2001~22年に共同研究者と連名で執筆した論文6本に、実験結果の画像データを加工したような痕跡が見つかり、捏造(ねつぞう)や改ざんなどの研究不正の疑いがあることが大学関係者への取材で判明した。山口大は調査会を設置して調べている。 研究不正の疑いがある6本は、欧
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スパコン「富岳」が3期連続2位 世界計算速度ランク
2023/5/22 20:10 291文字理化学研究所は22日、計算科学研究センター(神戸市)で稼働中のスーパーコンピューター「富岳」が、世界の計算速度ランキング「TOP500」で3期連続で2位になったと発表した。毎秒44京2000兆回の計算が可能。 TOP500は計算能力を総合的に示すランキングで年2回発表されている。産業利用で重視され
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調査道具はICレコーダー 市民参加で探るカエルの分布
2023/5/21 08:00 2099文字カエルは水田などに生息する身近な生き物だ。どの種がどこにすんでいるかを網羅的に調べることは簡単ではないが、市民も参加した研究プロジェクトで広い範囲での分布を推定することができたという。その「指標」として使ったのが、童謡でもおなじみのあの鳴き声だ。レコーダーを田んぼに向けるだけ 水田はイネを栽培する
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ゲームで学ぶ量子コンピューター 阪大など開発、テトリスに着想
2023/5/19 09:37 456文字次世代計算機「量子コンピューター」の世界に気軽に触れてもらおうと、計算の原理を取り入れたパズルゲーム「QuantAttack(クアントアタック)」を大阪大などが開発、インターネット上で公開している。スマートフォンやパソコンで楽しめる。 人気ゲーム「テトリス」に着想を得たといい、考案した阪大の藤井啓
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ウーパールーパーは30度で「熱い」 他動物より低く 滋賀で研究
2023/5/11 20:17 568文字涼しい環境に生息するサンショウウオの仲間「アホロートル(ウーパールーパー)」などが30度前後で「熱い」と感じることが長浜バイオ大(滋賀県長浜市田村町)などのグループの研究で判明した。神経の中で熱さの感覚を引き起こす受容体「TRPV1」の働きを解明することで突き止めた。 研究論文は11日、英科学誌「
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性差大きいと女性の脳に悪影響?大脳皮質の厚みに差 京大など発表
2023/5/10 21:14 552文字日本を含む29カ国のジェンダー(社会的性差)などを指数化し、各国の男女約8000人の脳データを分析すると、性差が大きい国ほど女性の大脳皮質の厚みが男性より薄い傾向にあることが分かったと、京都大などの国際チームが米科学誌に発表した。性差が小さい国にはこうした傾向はなかった。 京大病院の植野司特定病院
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世界の農業を変える? 植物を強くする「意外な液体」
2023/5/10 17:00 1845文字「生物刺激剤」という物質や微生物が注目されている。植物に働きかけて環境ストレスへの耐性を高める働きがあり、世界の農業に変革をもたらすと期待されている。その候補に、ある「身近な液体」が名乗りを上げているという。いったいなんだろうか。 理化学研究所のチームは5年ほど前、効率のよい生物刺激剤を探す実験を
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ミズアブの幼虫が生ゴミの臭いを軽減 腸内細菌に抑制効果か
2023/5/7 14:00 634文字茨城県つくば市の農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)などの研究チームは、ハエの仲間であるアメリカミズアブ(ミズアブ)の幼虫の力で生ごみの腐敗臭を抑制する技術を開発したと発表した。生ごみにわく虫の仲間が不快な臭いから人を救うという「逆転現象」はどのように起きているのか――。 ミズアブは北米原産
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パンデミックの先に
日本のコロナ研究「驚くほど少ない」 専門家はどう受け止めたか
2023/5/6 07:00 2031文字「日本は、感染症に焦点を当てた研究の量が他の主要国に比べて驚くほど少ない。特に新型コロナウイルス感染症では劇的に少ない」 各国の研究力などを分析しているロンドンの企業「デジタルサイエンス」は、ここ10年弱の日本の状況をそう指摘する。新型コロナが流行した3年間、各国の科学者らは競うように研究し、有効
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暮らしの中の科学
光合成には役立たず? 葉が緑色をしているわけ
2023/5/3 10:00 835文字新緑がまぶしい季節だ。草木の鮮やかな緑は私たちを癒やしてくれる。そもそも、植物の葉はなぜ緑色をしているのだろうか。 「葉から緑色が『漏れ出る』からです」。植物の生態に詳しい寺島一郎・東京大特任研究員(植物生理生態学)は話す。そこには、光合成の仕組みが深く関わっている。 光合成は、植物の中にある「葉
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広島大に「オオサンショウウオ研究センター」 固有種保護へ活動
2023/5/1 21:31 594文字世界最大級の両生類で、国の特別天然記念物である日本の固有種オオサンショウウオを守ろうと、広島大は1日、「オオサンショウウオ保全対策プロジェクト研究センター」を設立した。近年、生息環境の悪化とともに、外来種との交雑が問題となっている。センターは環境の整備に加えて川の調査や新しいDNA鑑定方法の開発な
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古川聡氏が代表の医学研究改ざん問題 JAXA「研究費返還せず」
2023/4/28 19:48 527文字医師の古川聡・宇宙飛行士(59)が研究代表者を務めた医学研究にデータの捏造(ねつぞう)や改ざんなどがあった問題で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は28日、東京都内で記者会見した。国から受けた研究費約7000万円を返還せず、2024年度以降に宇宙医学研究を再開する方針を明らかにした。研究費の返還も
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もんじゅの冷却用ナトリウム処理、英国企業と契約 搬出後、中和剤に
2023/4/28 18:31 293文字日本原子力研究開発機構は28日、廃炉作業中の高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)から抜き出した冷却用ナトリウム処理について、英国の原子力関係企業と枠組み契約を締結したと発表した。 2023年から31年に予定する作業の概略などを定め、工程の進捗(しんちょく)に合わせて、処理計画の策定や実際の処
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ネットに不可欠な光通信 画期的な技術を開発した立役者
2023/4/27 14:00 1218文字世界中の人とSNS(ネット交流サービス)やオンライン会議でつながったり、海外の映画を動画サイトで見たり……。生活の必需品になっているインターネットに欠かせないのが光通信だ。東北大の中沢正隆卓越教授(70)は、その技術を開発した立役者として、「日本版ノーベル賞」とも呼ばれる日本国際賞を今年受賞した。
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かつては「生みの親」 量子コンピューター初号機は巻き返せるか
2023/4/26 16:00 1832文字膨大な計算を瞬時にこなす量子コンピューターの国産初号機を理化学研究所が開発し、インターネットのクラウド上で使用が始まった。世界で開発競争が激化する中、後れをとっている日本は存在感を示すことができるのか。 「こちらから命令を送って、結果を読み出しています」。3月27日に埼玉県和光市の理研量子コンピュ
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