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第31回東京国際映画祭グランプリ予想

 日本最大の映画祭「第31回東京国際映画祭」が10月25日に開幕しました。東京・六本木を主会場に11月3日まで開催されます。最高賞の「東京グランプリ」を競うコンペティション部門には、国内外から16作品が出品されています。毎日新聞で新作映画を紹介している「シネマの週末」面の執筆陣が、コンペ作品を10段階で評価し、11月2日に発表される東京グランプリの行方を展望します。

    最高賞に仏映画「アマンダ」

     第31回東京国際映画祭のアウォード・セレモニー(表彰式)が2日、東京・六本木で開かれた。世界から16作品が出品されたコンペティション部門の最高賞「東京グランプリ」には、テロで死亡した姉の娘を育てる青年の悲しみや希望を繊細に描いた仏映画「アマンダ」(ミカエル・アース監督)が選ばれた。アース監督はビデオでメッセージを寄せ「上映後、熱心な議論が交わされたことがうれしい」と喜びを語った。同映画祭は3日に閉幕する。主な各賞は次の通り。
     審査委員特別賞=「氷の季節」(マイケル・ノアー監督)▽最優秀監督賞=エドアルド・デ・アンジェリス(「堕ちた希望」)▽最優秀女優賞=ピーナ・トゥルコ(「堕ちた希望」)▽最優秀男優賞=イェスパー・クリステンセン(「氷の季節」)▽最優秀芸術貢献賞=「ホワイト・クロウ」(レイフ・ファインズ監督)▽最優秀脚本賞=「アマンダ」(ミカエル・アース、モード・アメリーヌ)▽観客賞=「半世界」(阪本順治監督)【小林祥晃】


    コンペ全作品レビュー「東京グランプリ」に輝くのは?

     コンペティション部門の16作品を鑑賞した執筆陣が「東京グランプリ」と予想した作品は?。


    小林祥晃選「ブラ物語」

     「テルアビブ・オン・ファイア」「アマンダ」も捨てがたかったが、せりふが一切ない作品なのに、これだけしみじみとさせられた。改めて映画表現の可能性の大きさに気づかされた。


    鈴木隆選「半世界」

     コンペは個性的な作品がそろったが、どれもものたりない感覚が残った。題材や設定、見せ方は興味深いのに、物語をきちんと語ることの難しさを感じた。刺激も違和感も不快さもひっくるめて映画の醍醐味(だいごみ)だと改めて実感した。その中で、日本映画だからというわけではもちろんなく、阪本順治監督の「半世界」が最も印象に残った。物語自体に激しさや独創性があるわけではないのだが、生きて、生活している人間、人の営みが何と面白いことかを改めてうかがわせてくれた作品、とでも呼ぶべきか。(なお、コンペ全作品中「三人の夫」のみ未見です)


    山口久美子選「アマンダ」

     強いインパクトのある作品ではないのに、印象に残るシーンがいくつもある。いま、日本で、この映画の存在を多くの人に知ってもらいたいとも思う。


    【東京グランプリ】【最優秀脚本賞】アマンダ(原題)監督:ミカエル・アース

    評者名
    評 価
    ひと言
    勝田
    小林
    ★★★★★★★★☆☆
    序盤でテロ事件が起きた後は極めて淡々としたストーリー展開なのに、最後まで目が離せない。突然母を失った少女アマンダと、親代わりとなった若い叔父デヴィッドが支え合う姿がいじらしく、いとおしく感じられるからだろう。パリやロンドンの美しい風景も心にしみる。「テロ」を題材にしたのは現代的だが、よく考えると「自然災害」や「巨大事故」でも同じ物語が成り立つ気もする。
    鈴木
    ★★★★☆☆☆☆☆☆
    家族の生活と関係性を丹念に映し、明るい陽光がまぶしい前半と、テロ後の苦悩する青年やめいのコントラストが明快。テロの内容や容疑者、背景などには一切触れずに、犠牲者家族の喪失感にとことんカメラを向けたある種の潔さに監督の意思を感じたし、共感を呼ぶだろう。実際にテロで多くの犠牲者を出しているフランスの映画だからこそ、その意味は深い。ダイアン・クルーガーがカンヌ国際映画祭で女優賞を受賞した「女は二度決断する」とは、残された人の描き方で対極的ともいえる。こういう描き方の意義は理解できなくはないが、やはり、もう少しテロとその周囲の状況に踏み込んでもよかったのではないか。
    山口
    ★★★★★★★★★☆
    自由で気楽に生きているように見えるダヴィッドと、まだ無邪気な子どもに見えるアマンダだが、2人が持つ他人への思いやりと強さがじわじわと伝わってきて、あたたかい気持ちになった。悲劇的な場面も登場人物の感情も、控えめに描かれているのに胸に響いてくる。
    高橋
    ★★★★★★★★☆☆
    ミカエル・アースという監督名の語感ゆえにてっきり北欧の映画と思い込んでいたが、パリの“ところどころ”を舞台にしたフランス映画だった。悲しみを背負った人々の再生のドラマだが、湿っぽい描写はほとんどなく、むしろ軽妙な仕上がり。登場人物が街や公園をよく歩き、新しい出会いや恋が芽生える。その緩やかな時間の流れ方、人生の移ろい方が実に魅力的で、いくつものいとおしい瞬間に立ち会うことができる。

    (あらすじはこちら)


    【最優秀芸術貢献賞】ホワイト・クロウ(原題)監督:レイフ・ファインズ

  • 評者名
    評 価
    ひと言
    勝田
    小林
    ★★★★★☆☆☆☆☆
    バレエシーンはダイナミックで圧巻。ヌレエフの人生や「人となり」がよく分かり、勉強になった。終盤のフランス亡命にまつわるエピソードも手に汗握る。ただ、バレエに詳しくない者には、彼の葛藤や自由への渇望の話ばかりで少々冗長に感じる。「世界一勝手な男」と言いながら彼を助ける令嬢の心理などがもっと描かれていたら、印象が変わったかも。
    鈴木
    ★★★★★★☆☆☆☆
    天才ダンサーの半生をそつなく描き、エンタメとしてもなかなかの出来。亡命シーンの緊迫感、回想場面の挿入なども違和感ない。ただ、世にいう型破りな人間性は抑え気味で物足りない。
    山口
    ★★★★★★★★☆☆
    自信過剰で傍若無人な主人公に若干イラッとしたが、でもそんな彼だから、不安と恐怖に襲われながら亡命を決意する最後のシーンの緊張感が際立った。
    高橋

    (あらすじはこちら)


    【最優秀監督賞】【最優秀女優賞】堕ちた希望 監督:エドアルド・デ・アンジェリス

    評者名
    評 価
    ひと言
    勝田
    ★★★☆☆☆☆☆☆☆
    監督が言うには、土地がこの物語の着想の元。確かに、舞台となったナポリ郊外は殺伐とした廃虚と荘厳な自然が併存して、圧倒的。おなかの子供を守り、自由を求めて逃げる主人公は、道々蛇やら馬やら、足の悪い少女や救世主めいた世捨て人らと遭遇する。異世界めいた風景の中の逃避行は宗教的、神話的色彩を帯びる。観客を楽しませることよりも自らのイメージやメッセージを伝えることに力を注いだ、いかにも映画祭的な映画。それだけに、物語の抑揚を求めるとちょっとつらいかも。
    小林
    ★★★★★★★★☆☆
    「奴隷のようにとらわれの身の娼婦(しょうふ)」という設定にはあまり親近感を持てないが、「どんなに虐げられても希望や自由を求める心は奪えない」というメッセージはぐいぐい伝わる。ヒロインが食事する場面の表情がいい。仕事前に配られた弁当で腹ごしらえする時の顔、友人に振る舞われた肉を食べる時の笑顔、軟禁状態の中で黙々と食べる顔。表情の豊かさが作品の魅力を高めている。
    鈴木
    ★★★★☆☆☆☆☆☆
    荒廃した港町の雰囲気がスクリーンいっぱいに充満しているが、人身売買組織の手先だったヒロインの妊娠、変化など首をかしげる展開も目立つ。ラストをファンタジーと見れば納得がいくが、海辺の土地のリアルさなどとのアンバランスが気になった。
    山口
    ★★☆☆☆☆☆☆☆☆
    主人公の仕事は娼婦(しょうふ)らしいが、「仕事」の場面が一切描かれず、人間関係もいつまでたってもよく分からなくて彼女の行動が理解できなかった。でも、とにかく不幸なことだけはよく分かるので見ているのがつらいだけ。
    高橋

    (あらすじはこちら)


    【審査委員特別賞】【最優秀男優賞】氷の季節 監督:マイケル・ノアー

    評者名
    評 価
    ひと言
    勝田
    小林
    ★★★★★★★★☆☆
    不親切な抽象的描写はなく、ストーリーは分かりやすい。我が子の幸せと一家を守るため、背伸びして娘を金持ちに嫁がせた父。その「背伸び」のため家族が犠牲になり、自らも罪を犯す。父の行いは正しいのか。うそ・不正の上に成り立つ幸せは長続きするのか。一方、「意に沿わぬ結婚」を強いられた娘は本当に不幸なのか……など、いろいろな問いかけがあり、スルメのように味わい深い。
    鈴木
    ★★★★★★★☆☆☆
    極度の貧困からの脱出をはかるため、裕福な地主のいいなりになっていく農夫とその家族を描いた重厚なドラマ。生活のために好きでもない男と結婚させられる娘が、次第に美しさをまし、すべてをのみ込んだようなラストにうなった。裕福な農家との取引に応じるイェンス役のイェスパー・クリステンセンの頑固さと老かいさをにじませた演技は個人的には男優賞もの。暗くどろどろとした色調もドラマにフィットしている。19世紀半ばのデンマークが舞台だが、今も通じるテーマを内包した作品になっている。同じ北欧ではあるが、合理的で金勘定にたけたスウェーデン人に対するデンマーク人の感情も随所に出ていて面白かった。
    山口
    ★★★★★★★☆☆☆
    娘の幸せのために、というよりむしろ自分の幸せのためにすでに手を汚しているにもかかわらず、最後まで覚悟が足りない主人公イェンス。対照的に、何食わぬ顔で残酷な要求をするグスタウの母や、過去の恋も悲しみもばっさり切り捨て新しい生活になじんでいく娘。女はたくましい。
    高橋
    ★★★★★★☆☆☆☆
    神が沈黙し続ける過酷な大地で、なけなしの財産も愛も人間の尊厳も失っていく男の物語。イェスパー・クリステンセンの迫真の演技と相まって、貧しい主人公一家が心身共に追いつめられていく描写の積み重ねは見応え十分。厳しい寒さや飢えの苦しみまで伝わってくる映像世界は圧巻だが、スクリーンに映る風景がやや単調で、神話的なスケール感を獲得するには至らなかった。

    (あらすじはこちら)


    【観客賞】半世界 監督:阪本順治

    評者名
    評 価
    ひと言
    勝田
    小林
    ★★★★★★★★☆☆
    いろいろとうまくいかないアラフォー男の友情物語と思っていたが、終盤に意外な展開を見せ、見終えた後もタイトルの意味や人生を深く考えさせられる。俳優陣が良かった。特に、線の細いイメージの長谷川博己がキレる姿はすごみと説得力がある。人はいいけど少々底の浅い主人公には稲垣吾郎の軽さがマッチ。コワもての渋川清彦のいい人ぶり、息子や夫をしかりながらも深い情がにじみ出る池脇千鶴のお母さんぶりも、なんだか泣ける。
    鈴木
    ★★★★★★★★☆☆
    中学の時の旧友3人を中心に据えたドラマだが、3人のキャラクターや生き方、葛藤が無理なく分かりやすく表現されていた。ごく普通に生きてきたら、大半の人が同じような悩みや喜びを抱えつつ目の前の出来事に振り回されながら年を重ねていく。登場人物の誰に近いとかいうのではなく、ちょっと足を止めて、自分やその周りをみているような、そんな気持ちにさせてくれる。家業を継ぐこと、子供のいじめ、親子の関係性の変化などどこにでもありそうな人生の断面を切りとってさらりと見せる。深刻ぶらず、無視することもなく。強いプレッシャーとストレスを抱えた長谷川博己演じる元自衛官は、非難とかではなく、強烈な風刺を込めて描き、物語を動かす役割にもなっていた。また、生き方も仕事もうまく立ち回ることができない炭焼き職人の夫を支え、家族のかじ取りを担うその妻を、池脇千鶴が腰の据わった妻であり母である女として演じて絶妙の味。ゆったりとした時間が流れる地方都市を舞台にしたことで、登場人物の生きる実感がスクリーンからにじみ出てきていた。人と人との会話のテンポ、間もピッタリでいくつものセリフが胸に響いた。いい映画を見た実感がじわじわと広がった。
    山口
    ★★☆☆☆☆☆☆☆☆
    登場人物の言動に一貫性がなく、心境の変化にもついていけなかった。また、起こる出来事にまとまりがなく、特にラストはドラマチックに終わらせるために作ったような違和感ある展開。稲垣吾郎が田舎の炭焼き職人、長谷川博己が元自衛隊のレンジャーという役にも違和感があると思ってしまうのは私のテレビの見過ぎか。
    高橋

    (あらすじはこちら)


    詩人 監督:リウ・ハオ

    評者名
    評 価
    ひと言
    勝田
    ★★☆☆☆☆☆☆☆☆
    1980~90年代、詩人志望の夫と彼を献身的に支える妻の工場労働者夫婦の転変を、資本主義に舵(かじ)を切った中国の激動期に重ねる。一党独裁時代の前半では、社会階層をはい上がるために上司の評価やコネや身びいきを必死で求め、改革・開放後の後半になると拝金主義が幅を利かす。どっちにしても底辺の人々が翻弄(ほんろう)される現実が、リアリズムの描写でひしひしと。仲むつまじかった夫婦の運命で、哀れを誘う。と、意図は分かるが物語の語り口がいささかぎこちなく冗長で、情感が高まりきらないのが残念。
    小林
    ★★★★★★☆☆☆☆
    実力より、コネや組織への貢献が重視される社会の息苦しさや、中国社会の変化に翻弄(ほんろう)される人々の運命が描かれ、見ごたえがある。絵画的な映像も美しい。ただ、主人公の男女が互いを思う気持ちが、今一つ伝わりにくかった。
    鈴木
    ★★★★☆☆☆☆☆☆
    街のセットや炭鉱は広大で見応えがあるが、経済大国に移り変わる社会状況と夫婦関係の描写がどっちつかずで中途半端。仲むつまじかった夫婦の離反の原因など、ドラマのキーになる部分があっさりとしすぎていて、説得力が弱い。
    山口
    ★★★★★★★☆☆☆
    慎ましくも誇り高く生きる夫婦の辛気くさい話かと思いきや、後半は中国の時代の流れとともに案外俗っぽい展開になるのがおもしろい。詩人やミュージシャンや映画監督などをやっているダメな男に尽くす女の気持ちはわからなくもない。
    高橋
    ★★★★★☆☆☆☆☆
    激変する中国社会を背景にした個人のドラマとしては、ジャ・ジャンクーの「山河ノスタルジア」や昨年の東京国際映画祭コンペ出品作「迫り来る嵐」のカタルシスには及ばない。登場人物の行動や関係性が腑(ふ)に落ちないシーンが散見されるのは、ロングショットや長回しを多用した演出の様式にこだわりすぎたせいか。そちらの芸術性を極めるのも一手だが。

    (あらすじはこちら)


    テルアビブ・オン・ファイア 監督:サメフ・ゾアビ

    評者名
    評 価
    ひと言
    勝田
    ★★★★★★★☆☆☆
    大状況のあるところ、物語が生まれる。パレスチナの女スパイとイスラエルの将校のメロドラマの脚本を、パレスチナのヘタレ青年とイスラエルの検問所の兵士が練るという入れ子構造で、出口なき紛争を喜劇仕立てにした着想が秀逸。青年と兵士の力関係を反映させたやり取りがおかしく、あちらを立てればこちらが立たずの板挟みになった青年の迷走ぶりが笑わせる。そしてドラマの最終回。スパイと将校を結婚させつつ、パレスチナのスポンサーを納得させる結末は……。いささか泥臭いが、深刻な問題を深刻ぶらずに、しかし真面目に描いて好感。
    小林
    ★★★★★★★★★★
    減点するポイントが見つからないので思いきって星10個。イスラエルとパレスチナの対立関係をネタにしているのに、相手を罵倒したり、けなしたりせず、これだけ笑わせるセンスに感服。
    鈴木
    ★★★★★☆☆☆☆☆
    パレスチナとイスラエルの紛争をコメディーで描き、ユーモア満載。第3次中東戦争前後を舞台にしたソープドラマの色調や照明が時代を感じさせ、人物の衣装や髪形など細かいところにも目配りがきいている。現代のパートも検問所の場面が多く、全体に室内の映像が多かったのは残念。現地で生きる人々の生活や慣習、感覚に詳しければもっと楽しめたのに、と感じることしきり。
    山口
    ★★★★★★★★★★
    パレスチナ問題というシリアスなテーマを取り上げながら、ここまで観客を楽しませてくれるなんて。大いに笑いながらも、これが容易に解決できる問題ではないという現実も知らされる。
    高橋

    (あらすじはこちら)


    三人の夫 監督:フルーツ・チャン

    評者名
    評 価
    ひと言
    勝田
    ★★★★★☆☆☆☆☆
    返還以来の香港の激変を、映画に焼き付けてきたベテラン、フルーツ・チャン監督。本作では、急成長し経済的にも香港を圧倒する大陸のきらびやかな高層ビルを対岸に見やりつつ、その足元を漂う貧しい水上生活者が主人公。異常な性欲を抱えた女とその3人の“夫”。設定も4人の関係も、重層的な寓意(ぐうい)と風刺が込められているようだ。全編にあふれるセックス場面(官能的でも美しくもない)もまた、果てしなく行き場のない欲望とたくましい生命力を象徴し、時に滑稽(こっけい)で時にかなしい。いささか暴走気味でついて行けないところもあったが、エネルギーは圧倒的。
    小林
    ★★★★☆☆☆☆☆☆
    止まらない性欲を「病気」扱いしているが、本当にこんな病気があったらやりきれない。しかし「病気」そのものを描いたわけではなさそう。では、何がテーマなのか。文明の風刺? ダメ男と強い女? 難しく考えようとすると、コミカルな描写にはぐらかされ、結局分からない。終盤の「これからどこに行くのだろう?」という言葉がやけに印象的。案外、「中国と香港」といった政治的テーマが隠れていたりして。
    鈴木
    山口
    ★★☆☆☆☆☆☆☆☆
    最初から最後までとにかくセックス。明るく描かれているので最初のうちは笑って見ていたが、水中でさせたり、食べ物や生き物を使ったりとエスカレートしていき、もはや「病気」のキャラクターをもてあそんでいるとしか思えず不快に。その先に見えてくる何かがあることを期待していたがそれも感じられなかった。
    高橋

    (あらすじはこちら)


    ヒストリー・レッスン 監督:マルセリーノ ・イスラス・エルナンデス

    評者名
    評 価
    ひと言
    勝田
    ★★★★☆☆☆☆☆☆
    あちこちの映画祭で、人生のたそがれにさしかかった女性が輝きを取り戻す、という物語を見ている気がする。だから、不良の教え子に懐かれてまじめな女教師が未体験の世界に導かれるという展開は、あまり新鮮味を感じない。ただ、安易な成長ものにしないところは好印象。新しい世界をのぞいたからって、母親のような年上の親友のような存在を見つけたからって、人生が劇的に変わるわけじゃない。感動には欠けるが誠実ではある。情感をずっと抑えただけに、最後のキスシーンはひときわ美しい。
    小林
    ★★★★★★★☆☆☆
    序盤は少々退屈に感じたが、だんだん心温まり、好きになってくる不思議な作品。女性教師と女生徒が絆を育む物語と思ったが、もっと大きな「生と死」「人生」を描いている。女性だったらもっと共感できるかも。
    鈴木
    ★★★★★☆☆☆☆☆
    教師役のベロニカ・ランガーの演技が圧巻。ランガー演じる堅物教師の生き方探しに共感した中年女性は多いのではないか。人生半ばを過ぎ、体力も気力も思うようにいかなくても、好きなようにどう生きるか。中高年世代の背中を押してくれているようで、勇気や元気を与えられる映画だ。女優ではランガーと「半世界」の池脇千鶴が印象に残った。ランガーが関心を持つ反抗的な生徒は表情に乏しく、その年代特有の雰囲気を醸し出していた。お互いに心を通わせ合っていく姿もていねいに映し出されていた。
    山口
    ★★★★★★☆☆☆☆
    真面目に生きてきた女性が不良少女に導かれ新しい世界へ、というストーリーはいかにも映画っぽいなあと感じたが、その前提となる彼女の日常を描いた部分で印象に残るシーンが多い。決して悪い関係ではない夫との間に流れるなんとも言えない微妙な空気。性欲の処理。リアリティーある60歳女性の姿に、ドキリとさせられた。
    高橋

    (あらすじはこちら)


    シレンズ・コール 監督:ラミン・マタン

    評者名
    評 価
    ひと言
    勝田
    ★★★★★★☆☆☆☆
    イスタンブールに閉じ込められるのは、言ってしまえば金がないから。カフカ的な不条理劇かと思いきや、けっこう即物的で、行き当たりばったりの主人公が追い詰められるドタバタ喜劇。イスタンブールの裏町の光景に、格差の拡大や移民の姿が映し出されるのも興味深い。ただ展開は少々強引で、面白くなるのはむしろ後半。どこに行ったって天国なんかないんだと、不満の多い主人公が教えてくれる。
    小林
    ★★★★☆☆☆☆☆☆
    ストレスいっぱいの世界であくせく働く男の脱出願望には共感できるし、前半のドタバタ逃亡劇も面白い。楽園なんて期待しちゃいけないという結末も「笑ゥせぇるすまん」みたいでニヤリとさせられる。でも、最後に都会に戻ることを決めた(らしい)主人公の心中やいかに? 「もう一度頑張ろう」なのか、「あきらめ」なのか、欲を言えばそこが知りたかった。「自分で考えろ」ということなのかもしれないが。
    鈴木
    ★★★★★☆☆☆☆☆
    都会人には大なり小なり共感できるコメディー。ストレス社会からの脱出もそう甘くはないと風刺もきいているが、ドタバタ感が強すぎ。主人公の思考力がもう少し表現されていたら、よりリアルで怖いお話になったかも。
    山口
    ★★★☆☆☆☆☆☆☆
    空港に向かう主人公に次々と襲いかかる災難、というコメディー的な展開なのにまったくコミカルさがなく、ガチャガチャした背景と音楽も重なって、見ていてぐったり疲れてしまった。タイトルの意味がわかる、脱出後のストーリーはおもしろい。
    高橋
    ★★★★★☆☆☆☆☆
    息苦しい現実からの逃避という万国共通のテーマを、現代のイスタンブールの都市風景を前面にフィーチャーして描いた。あちこちで建設ラッシュ中の街のロケーションそのものが示唆に富んでいて、視覚的にも面白い。「トルコ行進曲」とフリージャズの音楽もこの不条理喜劇にマッチしているが、ユーモア感覚の違いのせいか、ふんだんに盛り込まれた会話劇がさほど笑えなかったのが残念。

    (あらすじはこちら)


    愛がなんだ 監督:今泉力哉

  • 評者名
    評 価
    ひと言
    勝田
    ★★★★★★★★☆☆
    足元の小さな小さな世界を丹念に丁寧に掘り下げるのは、日本映画のお家芸。社会性とか政治性とか、どこ吹く風。しかし身の危険も社会の混乱もないからこそ、どうでもいいようなことを延々と描いて隠されていた真理をのぞくことができる。20代後半、平凡な男女の取るに足りない恋愛模様が、複雑で豊かな色彩と陰影に彩られてお見事。登場人物は、誰かを好きになる理由などという探したって答えの出ない自問を繰り返してドツボにはまってゆく。生々しい会話のうちに、思いのすれ違いやズレ、程度の差が少しずつ現れて、もろく不確かな関係性が見えてくる。恋愛なんてしょせん、誤解と思い込みで成り立つ幻想にすぎない。と冷や水を浴びせつつ、登場人間たちと一緒にもだえている風情。苦いけれど温かい。
    小林
    ★★★★★★★★☆☆
    初めはヒロインを見ながら「ばかだなあ」と思っているのだが、だんだん「自分も一緒ではないか」と見えてきて、ある意味スリリング。恋愛感情というものの不確かさと、それでも一度心にすみついてしまうと、どうにもコントロールできない厄介さが見事に表現されている。無意識のうちに男をだますことを覚えていくヒロインも爽快。奥が深くて面白い恋愛映画だった。
    鈴木
    ★★★★☆☆☆☆☆☆
    「うんうん」「なるほど」と恋愛の形を提示してほほ笑ましくもあるが、冗長感がいっぱいでだらだらしっぱなし。映像にもキレがない。岸井、成田という注目の若手もいいし、江口、片岡など役者陣の好演で★一つ追加した。
    山口
    ★★★★★★★★☆☆
    なんてうっとうしくてバカな女! なんてひどい男!と思って見ていたのに、次第に人ごとと思えなくなってくる。テルコのような愛し方、マモルのような愛され方、身に覚えがある、と気づかされる。テルコの友人・葉子のように、他人のことだと変に見えても自分がいつの間にか同じことをしていたり、マモルのように別の相手に対しては逆の立場になったり、だれもがテルコやマモルになった経験や、なる可能性があるのではないか。
    高橋

    (あらすじはこちら)


    翳りゆく父 監督:ガブリエラ・アマラウ・アウメイダ

    評者名
    評 価
    ひと言
    勝田
    小林
    ★★★★★★☆☆☆☆
    主人公の少女が子どもらしさと不気味さを兼ね備え、その魅力(魔力?)で全編を引っ張っている。最初はホラー映画かと思ったが、ちょっと違う。「亡くなったお母さんに会いたい」という純粋な思いを、きちんと描いていた。ラストの場面は忘れられない。
    鈴木
    ★★★☆☆☆☆☆☆☆
    東京国際は何年か前からコンペ作品の出品国や地域の偏りにも配慮しているようだが、各国映画祭で躍進が続く南米からの貴重な1本がこの作品とは……。死んだ母を慕い霊的な力も併せ持つ少女と、精神が病んでいく父のドラマに、特筆すべき展開も描写も見いだせなかった。後半ホラーの要素が強まるが、心理的な圧迫感や緊張感まで達しないまま終わってしまった。まさか、ホラー的な作品も入れてジャンルの幅を持たせようとしたのではないだろうけど。ホラーやスピリチュアルな作品は映画祭のコンペからは敬遠されがち。そうした現状への反発ならその意欲はかいたい。
    山口
    ★☆☆☆☆☆☆☆☆☆
    多少気味が悪いという以外、特に感じることがない。何を伝えたくてこの映画を作ったのか、全く分からない。
    高橋
    ★★★★★★★☆☆☆
    「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド」「ペット・セメタリー」の一場面を劇中に引用している点からも、作り手がホラー好きだということが分かるが、ジャンル映画の定型からはみ出した異色作になっている。怪奇な残酷童話のようでありながら、登場人物の喪失や孤独の感情は生々しく、超常現象の描写もファンタジーなのか現実の出来事として表現しているのか判然としない。そうした全編を貫くアンバランスな感覚が主人公である呪術少女のキャラクターと共鳴し、ざらついたスリルを生んでいる。

    (あらすじはこちら)


    ザ・リバー 監督:エミール・バイガジン

  • 評者名
    評 価
    ひと言
    勝田
    小林
    ★★★☆☆☆☆☆☆☆
    物語が動き始めるのは後半から。文明と無縁の生活をしている兄弟の家に、町に住むいとこがタブレットを持ってやって来て、それまでの生活や人間関係が大きく崩れる。寓話(ぐうわ)的で、立場によっていろいろな解釈が成り立ちそうな作品だが、そこに至るまでの前置きが長く感じた。後半で描かれる父権社会の欺瞞(ぎまん)や危うさは、日本社会にも通じるところがあるようにも感じた。
    鈴木
    ★★★☆☆☆☆☆☆☆
    映画祭らしい映画。このタイプの映画は会話が少なく、観客の見方や視点次第で捉え方はさまざまで、何より人間や社会への探求が想像力を喚起する。ただ、本作は冒頭から5人の男の子たちの動きや言葉がロボットのようで、血が通っていないように感じられた。中盤以降の子どもたちへの刺激とその反応が一つのポイントなのだろうが、正直ピンとこない。映画全体の単調さは背景となる土地と同様で、こちらの映像も含め響いてくるものを感じないままだった。
    山口
    ★★★☆☆☆☆☆☆☆
    初めは美しく感じた、一家の住む土地の色少ない景色や自然界の音だが、小一時間もそればかりだと退屈になってくる。そこに突如現れる都会っ子の、服の色やピコピコ音を逆に美しく感じるほど。しかしそれも、映像美を追求する監督による計算なのだろう。映像もストーリーも、すべてが整っていた。
    高橋

    (あらすじはこちら)


    ブラ物語 監督:ファイト・ヘルマー

    評者名
    評 価
    ひと言
    勝田
    ★★☆☆☆☆☆☆☆☆
    全編セリフなし、ひょんなことから手に入れたブラジャーの持ち主を捜す電車運転士、というアイデアは見る前からワクワクさせられる。線路の両脇ギリギリまで家が並び、電車が文字通り軒先をかすめて走り抜けてゆく撮影地の光景も、異国情緒満点。出だしは快調だが、脚本にヒネリがなくて次第に単調に。尻すぼみなのが残念。
    小林
    ★★★★★★★★★☆
    先に鑑賞した複数の女性は「ストーカーみたいで気持ち悪い」「持ち主への執着でしかない」など、さんざんな低評価。でも、全然そうは思わなかった。主人公の元鉄道マンが機関車に引っ掛かったブラの持ち主を探す理由は、執着というより、定年退職したさびしさや、やり残した仕事を完遂させたい気持ちでは? 監督も記者会見で「彼はセックスではなく、家族を求めている」と話していた。女性から不当に低評価されている気がするので、げたを履かせて9点。
    鈴木
    ★★★☆☆☆☆☆☆☆
    セリフのない映画はこれまでにもあるが、この作品では不自然さが際だった。セリフがないことでファンタジーの色合いは帯びるが、セリフを排除するほどの理由も見いだせない。もっとも、ブラジャーの持ち主を探して家を一軒一軒男性が回る光景は、セリフのやりとりがあったら「単なる変態おじさん」に見えてしまうかもしれない。ユーモアと奔放さ、老運転士と少年の友情、さらには、線路を生活や娯楽の場にしている人の活力は感じたが、関心もそこまで。コンペ作品に入ったことが理解できない作品の一つだった。
    山口
    ★★★☆☆☆☆☆☆☆
    町や大地を走り抜ける列車、線路沿いで生活する人々、そういったシーンはさわやかで美しい。そのさわやかさを貫いてくれればよかったのだが、タイトルの通り、これは一つのブラジャーに異様な執着を持つ男の物語。妄想めいたシーンが続き、主人公が気持ち悪いオジサンにしか見えない。気持ち悪さも、(セリフがないという点で共通している)「Mr.ビーン」くらいまで突き抜けていたら笑えるのだが、そういう方向を目指しているわけでもなさそう。
    高橋

    (あらすじはこちら)


    大いなる闇の日々 監督:マキシム・ジルー

    評者名
    評 価
    ひと言
    勝田
    ★★★★★★★☆☆☆
    戦争を逃れて米国に来たカナダの男が、チャプリンのそっくりさん大会で優勝し、追い剥ぎに遭い荒野をさまよい、異常者の集団に拷問され、たばこのセールスマンに出会い……。展開は支離滅裂で、訳が分からずぼうぜん。しかしこれは、米国、カナダ、現代をお題にした寓話(ぐうわ)。不条理コント集のような物語に、隠喩と引用が張り巡らされ、世界の今への不安と憤りをぶちまける。いささか粗削りだが挑戦的な作品。賛否、好悪は真っ二つだろう。個人的には、割と好き。
    小林
    ★★★★☆☆☆☆☆☆
    カフカの不条理小説を思わせるやりとりや場面が続き、正直分かりにくい。しかし、主人公の前に次々と立ちはだかる人物らの一言一言が、妙に印象深い。例えば、米国の代表的たばこ「ラッキーストライク」を売り歩くセールスマンは「私が提供するものは、進歩、戦争、子供」「かつて我々はすばらしかった、なぜこうなった?」といった具合。第二次世界大戦とみられる戦争の実写映像も差し込まれ、現代の米国や世界に対する異議申し立ての気分は伝わる。
    鈴木
    ★★★★☆☆☆☆☆☆
    アメリカの荒れ地が舞台ということで大いに期待したが肩すかしをくらった。一つ一つのお話はいい人も悪い人も出てきてインパクトもあるのだが、全体を通してみるとつながらない。徴兵逃れ、チャプリンをまねたキャラクターなど設定はユニークで楽しめるのに、物語の流れや語り口がバラバラ。せっかくの題材や設定も生かし切れぬまま、アメリカの闇も浮き彫りにならず。断片的な怖さやおかしさだけが残る残念な作品になってしまった。
    山口
    ★★☆☆☆☆☆☆☆☆
    主人公の身に起こる不条理な出来事、登場人物の抽象的なせりふ、そういったものに監督の何か強いメッセージが隠れていることは感じるのだが、私にはほとんど解読できなかった。
    高橋
    ★★★★☆☆☆☆☆☆
    チャプリンからラッキーストライクまで暗喩だらけの寓話(ぐうわ)的な映像世界は、正直自分の好みとはかけ離れている。その70年以上の時を超えた“現代性”をどれほど感じ取れるかが肝心な作品だが、むしろ主人公が荒野で眠りこけて目覚めるごとに果てしない地獄巡りを強いられていく“悪夢映画”としての構造が面白い。広大なアメリカの原野をあえてスタンダードの画角で切り取るなど映像センスも随所に光るが、全編を覆う閉塞(へいそく)感や重苦しさが映画的なスリルに昇華されていないのはしんどかった。

    (あらすじはこちら)


    ヒズ・マスターズ・ヴォイス 監督:パールフィ・ジョルジ

    評者名
    評 価
    ひと言
    勝田
    ★★★★★★★☆☆☆
    知る人ぞ知るハンガリーの鬼才、パールフィ・ジョルジ監督、新作はまたしても壮大かつ難解(?)。ハンガリーと米国の父と子の物語を、インターネットや遺伝子や、深層心理、地球外生命体との交信、それに歴史と、いくつものレベルで同時並行でつむいでゆく。その想像力の奔放なこと。理屈や解釈は二の次、まず感じろ。
    小林
    ★★★★★☆☆☆☆☆
    主人公が陰謀論的な疑惑の真相を探るお話は、オカルト漫画のような、怪しげな魅力に満ちている。一方で、「なぜ自分は生きているのか」といった哲学的な問いかけも根底にあり、未来的な映像表現と調和して、作り手の想像力の豊かさを感じた。前半の意味不明な伏線は、後半でかなり種明かしされたが「ここで終わり?」と拍子抜けするラストで物足りない。もうひと展開ほしかった。
    鈴木
    ★★★☆☆☆☆☆☆☆
    斬新な映像と不快感をあおる低音の音楽で何を見せてくるかと序盤は期待したが、父の行方を調べるいささか変わり者の兄弟と、交信を試み、破壊もする宇宙(人)のお話。初めと序盤の壮大そうに見える部分に比べドラマ部分が弱く、緊張感もどこかに飛んでいってしまった。
    山口
    ★★★★★☆☆☆☆☆
    何かとても面白そうな気配は感じるのに、私には理解できない要素が多すぎた。でももう一度見たら分かるかもしれない、分かりたい、と思わせてくれる不思議な魅力がある。
    高橋
    ★★★★★★★☆☆☆
    映画祭の公式サイトでは触れられていないようだが、スタニスワフ・レムの小説「天の声」の翻案。アメリカを訪れたハンガリー人青年の父親捜しのミステリーが陰謀スリラーに転じ、ついには人間や宇宙の神秘へと飛躍するストーリーは、数回見直さないと理解不能なカオス状態。しかし作り手の技巧、パッション、イマジネーションがほとばしるビジュアルたるや凄(すさ)まじく、未知の映画体験=新たな世界に目を見開かされるかのよう。ファンタスティック系の映画祭ならば、どこのグランプリをとっても不思議ではないレベルだ。

    (あらすじはこちら)


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