
核兵器開発などを初めて全面的に禁じる核兵器禁止条約が1月22日に発効しました。核軍縮の前進につながるか注目されています。
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史上初めて核兵器の開発や保有、使用などを全面的に禁じる核兵器禁止条約が2021年1月22日、南太平洋のサモアから順次発効した。世界の核軍縮は核拡散防止条約(NPT)を柱にしているが、その動きは停滞してきた。核禁条約の推進国や非政府組織(NGO)は、核兵器を非人道兵器とする国際的な規範意識が高まり、核保有国への圧力になると期待しており、核軍縮の前進につながるか注目される。
条約の批准国・地域は、2022年1月20日現在で59。
核保有国は不参加
核禁条約は2017年7月に122カ国・地域の賛成で採択された。20年10月24日、批准した国・地域が50に達し、発効が決まった。米露英仏中などの核保有国や「核の傘」の下にある日本などは参加しておらず、締約国でなければ条約の法的義務に従う必要はない。だが、核禁条約ができた背景には核軍縮が停滞し続けていることへの不満の高まりがある。今後、NPT再検討会議などの場で核保有国が核軍縮に向けた姿勢をどこまで打ち出すのか問われそうだ。

日本は参加に後ろ向き
日本政府は唯一の戦争被爆国ながら、核禁条約を批准しないことへのジレンマを抱えている。条約発効後1年以内に開催される締約国会議へのオブザーバー参加を検討する姿勢は示すものの、米国の「核の傘」に依存している立場もあり、参加には後ろ向きだ。一方で米国も含めた核軍縮に向けた積極姿勢をアピールすることで、国内外の批判をかわしたい考えだ。
条約発効、今後は?
条約が発効した後、最初に実施されるのが、核兵器の保有などに関する申告だ。現在の締約国は非核保有国だが、条約の第2条に基づき、核兵器や核爆発装置を保有、配備していないかや、過去の核兵器計画を完全に廃棄したかなどを発効から30日以内にグテレス国連事務総長に申告する。国連はこれらの申告内容をすべての締約国に配布する。核兵器の撤去や廃棄の期限、検証方法など、条約に規定された事項の具体的な中身は今後、2年に1度の締約国会議で話し合うことになる。だが、核保有国の参加がなければ実効性のある検証もできない。どのような機関が、どんな手順で核廃棄の検証を進めるかも、追加規定で定めなければならない。
また、締約国会議などの費用は締約国が負担するが、財政力に乏しい中小規模の国がほとんど。このため、条約を円滑に運営するための資金確保も大きな課題となっている。
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「核のない世界」を実現するにはどうすればいいか、平和とは何か……。連載「核兵器禁止条約発効~私の思い」では、映画監督、俳優、元外交官、大学生などさまざまな立場の人に思いを聞いた。
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