大学倶楽部・芝浦工業大

針なし注射器開発 気泡の力で薬剤を体内へ

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 針を使わずに気泡の圧力で試薬や遺伝子を体内に届けられる「針なし注射器」の開発に、芝浦工業大学機械工学科の山西陽子准教授が成功した。直接皮膚に押し当てるだけで、試薬や遺伝子を目的の場所へ高精度に送り込むことができる。今後は構造の最適化、試薬の導入量などの評価を行い、企業と連携するなどして実用化を目指す。人類が注射器の痛みから解放される日も近い?

 既存の針なし注射器はバネの力で液体を高圧で発射し、皮膚を貫いて筋肉に薬剤を投与することから、神経を傷つける恐れや多少の痛みを感じるなどの問題があった。

 山西准教授の針なし注射器は、高速で発射した気泡がはじける力で皮膚に微細な穴を空け、その穴から、試薬をまとった微細な気泡を注入する。気泡のガスは収縮し、試薬だけが患部に届く構造。穴の直径は4マイクロメートルほどで、高速なうえに指向性が高いことから細胞へのダメージも少ない。

 気泡を連続発射するメスを開発していた山西准教授が、気泡の高速性に注目して、針なし注射器の開発も進めてきた。山西准教授は「痛くない注射器の実用化を一日も早く実現したい」と話している。

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