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「琵琶湖は呼吸する」熊谷教授ら出版 保全の必要性検証

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「琵琶湖は呼吸する」を手にする熊谷さん
「琵琶湖は呼吸する」を手にする熊谷さん

 立命館大教授の熊谷道夫さん(64)らが執筆した「琵琶湖は呼吸する」が海鳴社から出版された。滋賀県民に身近な琵琶湖を科学的に検証し、知られざる歴史や生態系などについて分かりやすく解説している。熊谷さんは「『履歴書』のように、琵琶湖の全体像を示すことができた。今後の保全や研究のあり方を考える道標になればうれしい」と話している。

 本は23章で構成。熊谷さんのほか、元滋賀県立大准教授の浜端悦治さん(故人)、総合地球環境学研究所(京都市)准教授の奥田昇さんが分担し、それぞれの専門分野についてまとめた。

 琵琶湖の歴史については、約420万年前の地殻変動で三重県西部に出現したことや、徐々に北上しながら今の姿になったことなどを紹介。高度経済成長期の1970年代に富栄養化が進んだ影響で赤潮が発生し、滋賀県で「琵琶湖富栄養化防止条例」の制定につながった社会の動きも記した。

 夏季を中心に水が環流となって渦を巻く現象は、専門家の間で「世界一美しい渦」と呼ばれている。一方で、熊谷さんらは現在起きている琵琶湖の変化についても言及している。94年から95年にかけての大規模渇水を機に水草が生息範囲を拡大させていること、地球温暖化によって深部と表層部で水の循環が起きにくくなっていることなどを指摘。今後琵琶湖に影響を与えかねないさまざまな要因について研究を続け、滋賀県民にとってかけがえのない湖を守ることの必要性を訴えている。

 このほか、ビワコオオナマズなど61種の固有種がいる独特の生態系や、外来魚が水産業に与える影響なども書かれている。

 四六判176ページ、1800円(税抜き)。滋賀県内の主な書店などで購入できる。【田中将隆】

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