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明治神宮大会5度目V 野球部支えた生田監督の長女

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亜大の明治神宮大会優勝を支えた生田英恵さん=就職先のコニカミノルタウイズユー提供 拡大
亜大の明治神宮大会優勝を支えた生田英恵さん=就職先のコニカミノルタウイズユー提供
明治神宮大会優勝を決め、選手たちに胴上げされる亜大の生田勉監督(中央) 拡大
明治神宮大会優勝を決め、選手たちに胴上げされる亜大の生田勉監督(中央)

 今秋の明治神宮野球大会で、最多タイとなる5度目の優勝を果たした亜細亜大。スローガンとして1年間掲げてきたのが、晴れやかな顔で一生懸命努力する「顔晴る(がんばる)」という言葉だった。選手は毎日、日誌にこの言葉を書き続け、最高の形で1年を締めくくった。スローガンがうまれたきっかけ。それは生田勉監督の長女、英恵(はなえ)さん(19)の存在だった。

 生まれつき知的障害があった英恵さん。どんな時でもニコニコと笑顔を絶やさない。通っていた養護学校と野球部の寮の最寄り駅が同じで、毎日選手とあいさつを交わし、神宮球場には亜大のパーカを着て度々応援に駆けつけた。石塚賢次投手(4年)は「どんな時でも笑顔の英恵ちゃんからいつも元気をもらっていた」と話す。

 チームは、2014年春に東都大学リーグ6連覇の快挙を成し遂げた。しかし、直後の秋季リーグ戦では4位に沈む。新チームの発足時、立て直しを迫られた生田監督の心に思い浮かんだのが、苦戦を強いられた就職活動を笑顔で乗り切った英恵さんの姿だった。

 昨年、英恵さんは入社を希望する会社の実習に行く途中で道に迷い、実習期間中ほとんど遅刻してしまった。なかなか採用が決まらないが、それでも毎日笑顔であいさつを続けた。その姿が多くの人の目に留まり、希望の会社への就職が決まり、今春から働き始めた。

 「娘は笑顔で運が開けた。だから顔が晴れるという意味の『顔晴る』をスローガンに掲げた」と生田監督。今秋は東都リーグの最終試合で優勝を決めた。明治神宮野球大会でも準決勝の東海大戦で逆転勝ちし、決勝の早大戦でも延長十四回の激戦を制するなど土壇場で勝負強さを発揮した。板山祐太郎選手(4年)は「苦しいこと、つらいことはたくさんあった。でも、運が舞い込んで来るよう常に顔を晴らす意識をした結果」と振り返る。

 一つのスローガンの下、手にした日本一。グラウンドの中には選手の、スタンドには声をからして応援し続けた英恵さんのあふれんばかりの笑顔があった。【長田舞子】

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