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リオデジャネイロ・パラリンピックで初めて正式種目となった女子の視覚障害者マラソンに、立命館大産業社会学部3年の日野未奈子さん(20)=滋賀県草津市=が、日本代表の近藤寛子選手(49)=滋賀銀行=の伴走者として出場する。レースは現地時間9月18日にスタートし、日野さんは前半を担当する。「長い間パラリンピックを目指してきた近藤選手と、メダルに向かって笑顔で走りたい」と意気込んでいる。
日野さんは愛媛県伊予市出身。中学で陸上を始め、松山市・済美高3年で主将だった2013年、全国高校駅伝競走大会で2区を走り、チームは57位と惨敗。「京都の大学で陸上を続けたい」と思いを強くした。
憧れの立命館大に入ったが、陸上部での中距離の記録は伸び悩み、膝を痛めてからは走るのをやめたいと思うこともあった。障害者スポーツ指導員になるための講習に通い、実習を受けたのが転機になる。競技を楽しむ参加者のはじけるような笑顔が心に残り、将来は障害者スポーツの普及に携わりたくなった。
陸上部のコーチに「伴走者としてリオを目指してみないか」と誘われた時は、「こんなに早く願いがかなうとは思わなかった」と振り返る。昨年9月から早速練習を始めた。伴走中は、網膜色素変性症の近藤選手の目となり、道路の状況を詳細に伝える。一緒につかむロープの輪で、初めは手が痛くなり、歩幅や手の振りを合わせるのに苦心した。
今は「心と体が合うよう、お互いの心の状態を知ることが大切」と理解し、週2回の練習では近藤さんの様子をつぶさに観察する。遠征先では食事や入浴などの支援もする。
「自分が走る以上に緊張した」今年2月の別府大分毎日マラソン大会では、前半約20キロを伴走。ぴったりと息が合い、あっという間に感じた。近藤選手が視覚障害者の部女子2位に入り、パラリンピック代表への推薦順位2位を勝ち取った時は、抱き合って喜んだ。
「生き生きと競技に打ち込む近藤選手の姿を見て、自分にとっても新しい道が開けた」と日野さんは感謝している。競技生活では3000メートルの自己ベストを更新。卒業後は障害者スポーツについて更に知識を深め、多くの人にスポーツの魅力を広めていく仕事をする新たな目標も見つけた。【宮川佐知子】