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龍谷大農学部とパン製造メーカー・アンデ(京都市伏見区)が、大文字山(左京区)で採取した野生酵母を使った「ソフト食パン」を共同開発した。一般的な酵母よりも発酵力が強いため、ふんわりとした食感と、長い賞味期限が特徴。関係者は「京都の新しい名産品にしたい」と意気込んでいる。10月3日から販売する。
龍谷大農学部の島純教授を中心とした研究グループは、2012〜13年にかけて、府内各地で採取した樹木や昆虫など約400の試料からパン酵母を取り出した。その結果、大文字山に自生するクヌギ樹液から採取した2株のパン酵母に、強い発酵力が認められた。
14年秋に、この酵母を使ったパンの共同研究を開始。1斤の食パンを試作するのに必要な培養酵母の安定供給技術を確立し、約2年かけて商品化した。
賞味期限は、アンデが販売する通常のパンの約1・5倍の30日間(未開封の場合)。有賀篤幹(あるがしげよし)代表取締役は「雑味がなく、小麦そのものの香りがする。保存料無添加で、これだけ長くおいしさを保てるパンは他にない」と自信を見せた。
島教授は「なぜ大文字山のパン酵母に強い発酵力があるのか、解明するのが今後の研究課題。他の酵母も分析し、漬物や酒などに合う京都産の酵母も開発していきたい」と話している。
「ソフト食パン」は1斤(約400グラム)550円(税抜き)。アンデのホームページからの通販や、本社直販所(同市伏見区下鳥羽北ノ口町58)で購入できる。問い合わせはアンデ(0120・255・535)。【礒野健一】