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国学院大は、渋谷キャンパスにある図書館や博物館が入る学術メディアセンター1階のオープンスペースに本棚兼読書スペース「みちのきち」を設置した。本を手に取りやすい環境をつくり、学生の読書離れの食い止めを狙っている。
本棚には、新書や写真集、漫画など約800冊が配架されている。選書は学生への聞き取り調査を基にブックディレクターの幅允孝氏が手がけた。学生の興味が湧くように、「食べる」「未知なる場所へ」「日常」「日本の来歴」など七つのテーマごとに関連書を並べ、蔵書は新たに購入した。
ネーミングは、「未知のことを既知に変える基地」「人生(道)の迷いに向き合う基地」「機知に富んだ会話のできる大人になれるような本がある基地」という意味を込めてつけられた。
スペースは約85平方メートル。外観は木が生い茂る様子をイメージした。枝葉部分に見立てた屋根が付いている。利用者は木の中にもぐりこむように内部に入り、幹部分の本棚を背に設置されたソファなどに座り読書を楽しむことができる。本を汚さなければ飲食も可能で、一般市民も利用できる。
同大は2014年から毎年秋に学生に大学生活に関するネットアンケートを実施し、回答結果から読書離れが進んでいることが分かった。多くの学生に本に触れてもらうためのプロジェクトを昨年4月からスタートさせ、「みちのきち」設置に向け計画を進めてきた。今後も学内に同様の読書スペースを開設する予定だ。
プロジェクトとしては、読書に関するイベントを定期的に開催するなど活動を広げていく。代表の石井研士副学長は「このスペースをきっかけに、図書館所蔵の学術書へ興味を持つなど相乗効果が得られれば」と期待を寄せる。
「みちのきち」を利用した同大法学部1年、正村千穂さんは「授業と授業の合間に訪れている。落ち着きのある雰囲気がいい」と話す。同大経済学部3年の野口航さんは「2~3時間利用することもある。関心があるジャンルをきっかけに、さまざまな本が読める」と満足そうだった。【丸山仁見】