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江戸時代の浮世絵師、葛飾北斎が挿絵を描いた曲亭馬琴作の読本を中心に紹介する「北斎と馬琴」展が専修大学生田キャンパス(川崎市)の図書館本館で開かれている。近年の北斎ブームと馬琴生誕250年を記念して企画。北斎の作品の中でも版本の挿絵に注目したものとなっており、11月7日まで行われている。
同大図書館は2009年に故向井信夫氏から江戸後期の庶民の娯楽読み物だった戯作(げさく)のコレクション約4000作、約1万冊を移譲され、「向井信夫文庫」として設置している。今回の展示会では、その中の一部などから15作品が見られる。合わせて、「水滸伝(すいこでん)」や「八犬伝」など馬琴ゆかりの作品をモチーフにした歌川国芳の浮世絵も展示されている。
会場には、保元の乱に敗れて伊豆大島に逃れた弓の名手・源為朝が琉球に渡り、内乱を鎮定して琉球王朝の始祖になったという伝説を描いた「椿説弓張月(ちんせつゆみはりづき)」や中国古典「水滸伝」を翻訳した「新編水滸画伝」などの読本が並べられている。読本は、北斎の描く人物のこっけいな表情や浮世絵「富嶽三十六景」に代表される波の動きなどが微妙な墨の濃淡や線の太さで美しく表現されており、比較的初めの頃に刷られたものと見られている。
企画に携わった同大図書館の藤田加世子さん(28)は、「北斎が版本挿絵を描き始めた頃からの作品もあり、画風を確立していく様子を見ることができる」と話す。
入場無料。3~5日は午前10時~午後3時、6、7日は午前11時~午後4時。25、26日に東京都千代田区の同大神田キャンパス神田5号館ラーニング・コモンズでも開催される。問い合わせは同大図書館本館(044・911・1274)へ。【丸山仁見】