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大学倶楽部・上智大

ローマ法王による環境問題への対処指針めぐりシンポ 11人が登壇し4時間議論

開会あいさつを行う地球システム・倫理学会 近藤誠一会長
回勅共訳者の上智大学・瀬本正之教授(右)と吉川まみ講師
司会進行役の上智大学の島薗進教授
会場からも次々と質問が上がった

 学際的な対話を通して今後の地球倫理のあり方を考えるシンポジウム「回勅『ラウダート・シ』と統合智の地平」(地球システム・倫理学会主催)が11月11日、上智大学四谷キャンパス(東京都千代田区)で開催された。フランシスコ・ローマ法王が2015年に環境問題への対処指針を示した回勅(重要文書)をもとに、グリーフケア(悲嘆へのケア)、実践宗教学、神学、生命倫理学、地球環境学などの視点から4時間を超える熱い議論が交わされた。

     法王はこの時の回勅「ラウダート・シ-ともに暮らす家を大切に-」で、地球温暖化について「今世紀に大規模な気候変動と、生態系の未曽有の破壊が起き、深刻な結末を招きかねない」と警告。また「私たち共通の家」である地球が「巨大なゴミ集積場と化し始めている」と指摘した。

     さらに法王は「富裕国による大量消費で引き起こされた温暖化によって、貧困地域が気温上昇や干ばつに苦しんでいる」として、先進国に「使い捨て」自粛を要請。環境や社会の問題を解決するには、統合的な英知が必要だと訴えた。回勅発表を受け、オバマ米大統領(当時)が歓迎声明を出すなど、話題を呼んだ。

     今回のシンポジウムでは、回勅の日本語訳に携わった吉川まみ・上智大学講師による、法王が提唱する「総合的な(インテグラル)エコロジー(Integral Ecology)」の解説に続き、各分野の研究者による発題が行われた。聖書学を専門とする月本昭男・同大特任教授は、環境破壊への鋭い告発が既に旧約聖書にも見られることを指摘して回勅の思想的基盤を示し、鬼頭秀一・星槎大学副学長は自然的・社会的・精神的環境の統合を目指す最先端の環境思想の中に回勅を位置づけた。

     他宗教との関連では、板垣雄三・東京大学名誉教授が、宇宙の事象を神の徴(しるし)ととらえるイスラムの立場を紹介し、自然に神の顕(あらわ)れをみるこの回勅がユダヤ・キリスト教の視野を他宗教を包括するものへと広げる契機になることへの期待を表明した。

     岡田真水・兵庫県立大学名誉教授と鎌田東二・上智大学特任教授は、それぞれ仏教、神道研究の観点から、この回勅が、日本古代の「草木言語(くさきこととふ)」という存在感覚や、仏典に説かれる「少欲知足」という価値観と相通じるところがとても多いことを指摘し、「深く共振、共鳴する」と述べた。

     さらに、駐日ローマ教皇庁特命全権大使のジョセフ・チェノットゥ大司教による回勅誕生の経緯と意義に関するメッセージが紹介され、竹内修一・上智大学教授、服部英二・地球システム・倫理学会会長顧問、伊東俊太郎・東京大学名誉教授が討論を展開。西洋文明とキリスト教思想史におけるこの回勅の意義について、また世界の諸文明・諸宗教の思想との対比でこの回勅を捉え返すことの意義について、議論を交わした。

     用意した150部の資料はすべてなくなり、席が足りず窓辺に座る来場者も出るほどの盛会ぶりで、関心の高さをうかがわせた。

     座長の一人で宗教学者の島薗進・上智大学特任教授は、「日本における文明間の対話や宗教と社会倫理の討議という観点からも、画期的な集いだった」と感想を述べた。

    上智大

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