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災害に適応するための基盤作り向けシンポジウム 実験設備も公開

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プロジェクトを説明する中央大理工学部の有川太郎教授 拡大
プロジェクトを説明する中央大理工学部の有川太郎教授
後楽園キャンパス3号館地下に新設された実験設備「沿岸防災再現水槽」 拡大
後楽園キャンパス3号館地下に新設された実験設備「沿岸防災再現水槽」

 中央大学は災害に適応するまちづくりに向けた「災害適応科学プラットフォーム開発プロジェクト」を進めている。3月27日に、東京都文京区の後楽園キャンパスで「災害適応科学プラットフォーム国際シンポジウム」を開催。併せて、同キャンパス内に新設した実験設備「沿岸防災再現水槽」を公開した。

 2011年の東日本大震災以降、水災害は防ぐという考え方から、どう対応するかに変わってきている。同大はプロジェクトで、国境を越えた研究者同士の連携と、データベース化したさまざまな要因の利活用という二つのアプローチから、災害に適応するためのプラットフォーム構築を目指している。同プロジェクトは、文部科学省が支援する「私立大学研究ブランディング事業」(17年度)に採択された。

 シンポジウムには約200人が参加。国内だけでなく、トルコ、モロッコ、シンガポール、チリから招いた研究者や実務者が、想定以上の被害が起こりうることを前提に、減災のためのマネジメントを考える「災害リスク管理」の能力強化や、日ごろから津波に対しての意識を高めておくことの重要性を呼びかけた。また、津波シミュレーションモデルを蓄積する「津波シナリオバンク」から、実際に観測された水圧データにマッチするシナリオを選び出し、津波の即時予測に役立てる手法なども紹介された。

 津波工学が専門の東北大工学部の首藤伸夫名誉教授は講演で、「頑丈な構造物ができれば安心という心構えでは、災害に対応する力を養っていくことはできない」と警鐘を鳴らした。プロジェクト代表の中央大理工学部の有川太郎教授は「データベースを構築しながら、死者を一人も出さない最適な避難経路の選定を目指したい」と意気込みを語った。

 この日は、沿岸防災再現水槽も公開された。併設するタンクに約4トンの水をためることが可能で、送水速度や水量を調節することで、豪雨や高潮、津波の浸水確率に応じた水の動きが分かる。水災害時の防護施設などの脆弱(ぜいじゃく)性や災害時の行動予測に関する試験を20分の1スケールで再現できる。

 水槽内にはカメラが設置されており、水がたまっていく様子が映し出されたモニターにより、水災害をVR(仮想現実)で疑似体験することも可能。得られたデータは、避難計画や避難の意識向上につながる研究、堤防の破壊メカニズム解明などに役立てていくという。【丸山仁見】

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