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ドローン(小型無人飛行機)でイベントのPR動画を空撮して地域に貢献している茨城大のサークルがある。「航空技術研究会」(部員約20人)だ。会長を務める人文社会科学部4年の正田真悟さん(21)はパイロット免許を持つ異色の大学生。台風や地震などの災害時に被災状況を確認するため出動する協定を自治体と結ぶなど、さらに活動の「翼」を広げている。
正田さんは幼い頃から空に憧れ続けた。小学4年で始めたスポーツも高く跳べるトランポリンだった。
茨城大に合格した2015年春、母から「人生で一番やりたいことに挑戦しては」と言われ、パイロット免許の取得を思い立った。入学式の前日に休学届を提出し、半年かけて英語を勉強。同年10月にはハワイに渡航し、ユースホステルに宿泊しながらスクールに通った。
渡航3日後、初フライトに挑戦。操縦かんを引くと、機体がふわっと浮いた。夢にまで見た瞬間に「絶対に免許を取る」との思いを新たにしたという。
苦戦したのは航空無線の聞き取りだ。全て英語のうえ、雑音が多いためなかなか聞き取れず、録音して何度も聞き直して克服。3カ月後の16年1月、学科、面接、実技の試験に合格し、目標の免許を取得した。
同年4月に復学すると、手作りの飛行機で琵琶湖上を飛んだ距離を競う「鳥人間コンテスト」への出場を目指し、同研究会に入った。ただ08年以降は出場できておらず、思いは果たせていない。
そんな中、他のメンバーと共に16年秋の学園祭でドローンの操縦体験を企画した。長い列ができ、急きょ整理券を配るほどの人気を博した。正田さん自身もドローンからの映像を見て、飛行機を操縦していた時の感覚がよみがえると同時に、「これは使える」と確信を持った。
その後、ラグビー部や漕艇部など大学の部活動や、地域イベントのPR用動画をドローンで空撮するようになり、17年11月には、県学生ビジネスプランコンテスト(県、茨城大主催)で「ドローンを用いた動画撮影による地域活性化事業」を提案し、最優秀賞を受賞した。石岡市から「災害時に立ち入りが困難な現場を撮影する協定を結びたい」との依頼も寄せられ、協定を締結した。
災害に対応できるようドローンを4機に増やし、他のメンバーも操縦訓練を積んでいる。正田さんは「空撮はそれまで気づかなかった魅力を再発見できる。地域に貢献したい」と話す。【吉田卓矢】