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「医療者のためのLGBT講座」を開催 医師、看護師、学生が議論

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医療現場での実体験を踏まえ、講演する田中太郎弁護士 拡大
医療現場での実体験を踏まえ、講演する田中太郎弁護士
医師や看護師などが熱心に耳を傾けた 拡大
医師や看護師などが熱心に耳を傾けた

 医療現場における性的少数者(LGBTなど)に対する理解を深めようと、順天堂大学が6月18日、「医療者のためのLGBT講座」と題した講演会を開催した。会場の本郷・お茶の水キャンパス(東京都文京区)に医師、看護師や医学部生ら24人が集まり、患者への言葉遣いなど、課題と対応策を話し合った。

 研究機関「電通ダイバーシティ・ラボ」が2015年に国内で実施したアンケート調査によると、約13人に1人が性的少数者と回答した。社会での理解が徐々に広まりつつある中、医療現場では、柔軟な対応がなかなか進んでいない。手術の同意署名や病状説明の際に同性パートナーが家族と認められなかったり、入院時の部屋割りや病衣などで自認する性と異なる扱いをされたりといったことで、患者の不安や悩みを助長しているケースも少なくない。

 こうした現状を踏まえ、同大医学部医学教育研究室の武田裕子教授と3人の医学部生が、ゼミ活動の一環として今回の講演会を企画した。性的少数者への理解促進と法的支援などに取り組む任意団体「LGBTとアライのための法律家ネットワーク(LLAN)」で啓発活動を行う弁護士の田中太郎氏を講師に迎え、司会進行は学生が務めた。

 田中弁護士はまず、「医療現場でも、配偶者を『奥様』や『旦那様』と呼ぶことが多いが、『パートナー』という言葉を使ってもらえると、『受け入れられている』と感じる」と、LGBT当事者としての思いを語った。さらに「LGBTを含む多様性に配慮し、誰も排除することのない医療を提供してほしい」と訴えた。

 武田教授も「LGBTの方々への配慮を人権の問題として深くとらえ、対応できる医療者の育成が求められている。現状はまだまだ遅れているが、学生教育から取り組みたい」と述べた。

 講演後は、医療関係者や医学生ら参加者から「パートナーに署名などの対応をしてもらう際、病院として注意すべき点は」「問診票の質問項目見直しなど、配慮できることを知りたい」などさまざまな質問が寄せられ、活発な議論が交わされた。企画運営に携わった女子学生(3年)は「これまで普通に使ってきた表現が、LGBTの方々を傷つけることになるとは、思ってもみなかった。言葉遣い一つ一つにもきちんと配慮する医師を目指したい」と力を込めた。

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