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大学倶楽部・東京農業大

「ノケジョ」農業系学部に続々 科学を“食”に生かす

線虫の研究に取り組んでいる龍谷大の林さん

 大学で農業系の学部を志望する女子が増加している。学部を新設する大学も相次いでおり、「ノケジョ」(農学系女子)なる言葉もあるという。

     夏の日差しを浴びて、日傘を手にサンダル姿の女子学生が歩く。滋賀県大津市の龍谷大学瀬田キャンパス。琵琶湖からほど近い23万平方メートルの敷地は緑に囲まれ、理工学部と社会学部、農学部の学生が学ぶ。農学部は2015年、国内の大学では35年ぶりに新設されたばかり。背景にはノケジョ人気の高まりもあるという。

     顕微鏡が並ぶ研究室に、白衣を着た4年生の林采香(あやか)さん(23)の姿があった。農学部の1期生。栽培技術を学ぶ資源生物科学科で、病害虫「線虫」を研究している。兵庫県西宮市出身。周囲に農家はなかったが、小学校のころから自然に触れることが好きで、栽培に携わりたいと進学した。

     「どんな小さいことでも自分しか知らないことなら、先駆者になれるかも」。そう考え、全国に数カ所しかない線虫の研究室を選んだ。農家の負担を少しでも減らしたいと、線虫に抵抗性のあるニンジンの品種の研究を続けている。

     指導する岩堀英晶教授(線虫学)は「虫を扱うので研究室に来るのは男子ばかりかと思っていたら、7対3で女子が多く驚きました。パイオニア精神にあふれ、やる気に満ちています」と話す。林さんは卒業後、大手種苗メーカーに就職する予定で「新しい品種を作り、いつかそれがスーパーに並んでいるのを見ることができればうれしい」とほほ笑んだ。

    花の手入れをする東京農業大の夏見さん

     もう一人のノケジョに会うため、東京農業大学厚木キャンパス(神奈川県厚木市)に向かった。やはり緑豊かなキャンパスで迎えてくれたのは、Tシャツにジーンズ姿の農学部農学科4年の夏見紀子さん(23)。祖父母は岩手県で兼業農家を営んでいたが、普通科高校に通っていた夏見さんが農学部に進んだのは、高校の授業で農業人口が減少していることを知ったのがきっかけ。

     入学後、学内に畑を持つ栽培クラブに入部した。そこで、農業高校出身の同級生たちの知識量に圧倒された。畑仕事は全て手作業。除草や収穫が間に合わず、早朝や授業の合間に畑に通う毎日だった。「泥だらけの地下足袋を履いて授業を受けている友達もいました。雑草は1週間で元通りになるし、1日収穫が遅れただけで巨大化する野菜もある。農業は休みがなくてしんどくて、でも収穫するとおいしいんですよね」

     10種類のジャガイモ、しま模様のナス、激辛の唐辛子「ジョロキア」--。畑に植えられた、農大ならではの珍しい品種にも心を奪われた。大学が提携する高知県や長野県の農家に滞在し、農業の魅力を体験した。夏見さんは「大変なことは我慢できても、面白くないとがんばれない。これほど農業漬けの生活になるとは、高校の時の友達は驚いていると思います」と笑った。

     文部科学省の学校基本調査によると、農学系学部で女子の割合は年々増加しており、07年度の40%から17年度は46%に増えた。女子人気もあって、今年度は新潟県に農学系に特化した新潟食料農業大学が設立。来年度は福島大学に「食農学類(仮称)」が新設される予定だ。

     大学教育に詳しい大学通信の安田賢治さんは「06年度から薬学部が6年制になり、負担が増えた。生物や科学を学びたい女子の新たな選択肢として浮上したのでは。食の安全に関心が高まっているほか、生産栽培や就職に強いバイオ系の人気が出ている」と指摘する。

     一方で、農業の担い手は減少を続けている。農業法人への就職を決めた夏見さんは就職活動中、農家の待遇の悪さを目の当たりにした。「女性が新規就農するには限界があり、やりたくても諦めてしまう人は多いと思う。だから、私はしっかり休んで稼いで、会社を大きくして雇用を増やしていきたいんです」。言葉に力がこもった。【林奈緒美】

    龍谷大

    公式HP:http://www.ryukoku.ac.jp/
    所在地:〒612-8577 京都市伏見区深草塚本町67
    電 話:075-645-7882

    東京農業大

    公式HP:http://www.nodai.ac.jp
    所在地:〒156-8502 東京都世田谷区桜丘1-1-1
    電 話:03-5477-2226

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