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災害時の心のケアについて学び、西日本豪雨の支援に生かそうと、県臨床心理士会は、中区で会員のスクールカウンセラーなどを対象に研修会を行った。講師として、2011年の東日本大震災や16年の熊本地震で、災害派遣精神医療チーム(DPAT)などとして被災地に入った桜美林大学講師の池田美樹さん(心理学)が講演。約130人が参加し、広範囲にわたる被災地で長期的な支援が必要になることを踏まえ、災害後のメンタルヘルスの問題や支援方法を学んだ。
池田さんによると、災害発生直後は被災者同士が復旧作業などで協力し「なんとかしよう」と頑張るが、1カ月を過ぎた頃から疲れを感じ始め、PTSD(心的外傷後ストレス障害)やうつなどの心理的影響が出てくるという。「注意が必要。いつもと違う言動があれば、支援につなげてほしい」と強調した。
災害時の子どもの反応や行動についても説明。同じ布団でないと寝られないなどの赤ちゃん返り▽「食べ物の好き嫌いをしたから災害が起こった」と災害と、無関係の自分の行動を結びつける▽突然パニックになり泣き出す▽泥で物を押し流して遊ぶ「土砂災害ごっこ」をする--などを挙げ、「周囲の大人が不安になると、子どもの回復の妨げになる。親も冷静に対応してほしい」とした。土砂災害ごっこは遊びを通して心の整理をしている場合もあるといい、「つらそうなのにやめられない時は、他の遊びに誘うなどしてあげて」と助言した。
さらに「周囲に被災者が多いと『これぐらい』と我慢してしまう人が多いが、かえって症状の悪化を招きかねない。気軽に相談できるような態勢にしてほしい」と呼びかけた。
同会は7月18日から熊野町の避難所や小中学校へスクールカウンセラーを派遣。子どもたちの様子を観察し、教員に助言もしている。被災者向けの無料相談も行っており、県内各地の相談機関で受けられる。詳細は同会ホームページ。【小山美砂】