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大学倶楽部・学習院大

部活動とどう向き合うべきか 教員の卵、現場立つ前から議論

部活動の意義や課題について発表する学生たち
中学校教員の勤務時間と部活動指導時間

 中央教育審議会は昨年12月、公立校教員の時間外勤務の上限を月45時間などとする文部科学省の指針案を了承した。勤務時間には、これまで「自発的行為」とされてきた部活動指導も含まれる。指針案では勤務時間削減に向けた外部指導員の活用も提案されたが、人材確保の具体的な方法には言及していない。さまざまな論点に明確な答えが出ない中、大学の教職課程で部活動の在り方を扱った授業も始まっている。部活動とどう向き合うべきなのか、学習院大の教員の卵たちが真剣に考えた。

     ●授業に「指導論」

     「部活動が教育課程外だから位置づけがあいまいになる。『特別の教科』として時間割に組み込むことで活動時間が明確になる」

     学習院大の一室で、ある学生たちの班が部活動を授業にするという独創的なアイデアを発表すると、他の班から「誰が教えるのか」「教科書は」などと質問が相次いだ。長沼豊・同大教授(教科外教育)は活発にやり取りする学生たちを見つめ、満足そうにうなずいた。

     同大の教職課程科目として今年度に始まった「部活動指導論」は、教員を志望する3、4年生の男女約15人が履修している。2017年12月に発足した日本部活動学会の会長を務める長沼教授は、部活動指導の長時間化を踏まえ「部活動に対する考え方をしっかり持ったうえで教員になってほしい」と授業の狙いを説明する。

     授業はゼミ形式で、発表では「意義」「問題点と解決策」「指導のあり方」のテーマ別に3班に分かれ、意見を出し合った。

     「意義」の班は、部活の効果に生徒の自己肯定感向上や上下関係を含めた社会的ルールの理解などを挙げた。教員もやりがいが生まれ、授業以外で生徒とつながりを保てると説明した。

     「問題点と解決策」の班は、ほとんどの中学校が生徒の「全員加入」を求めていることを念頭に自主性について議論を重ね、強制入部の廃止を提案した。大会やコンクールでの入賞を目指す生徒だけでなく、友人と楽しみながら続けたい生徒もいるとし、教員と生徒が年度初めに話し合い、それぞれの目標に沿った年間計画を立てる案を示した。

     部活動を道徳と同じ「特別の教科」とするアイデアを出したのは、「指導のあり方」班。教員と部活動を巡るさまざまな問題は、部活動の位置づけがあいまいなため引き起こされるとして、競技などに分けて授業化すれば勤務時間外の指導もなくせると主張した。ただし、多様な種類がある部活動を細分化できるのかといった課題も指摘された。

     ●現場立つ前から

     受講した学生の反応もさまざまだ。理学部4年の大河寛さん(21)は「部活動の良い面と悪い面を知っておく必要があると思って受講した。教員になったら強さやうまさよりも楽しさに重点を置きたい」。文学部3年の豊岡温菜(はるな)さん(20)は「まだ自分の中で結論が出ていないが、働きながら分かってくるのかもしれない」と話した。

     長沼教授は「教員になれば、嫌でも部活動と向き合わなければならない。現実的な意見から奇抜な発想までさまざまな考え方があることを理解したうえで現場に立ってほしい」と話す。

    位置づけ不明瞭、長引く指導時間

     文部科学省が16年度に実施した勤務実態調査では、中学校教員の6割近くの時間外勤務が過労死ライン(月80時間)に達していることが判明した。土・日曜日1日あたりの部活動指導は2時間9分で10年前のほぼ倍になり、多忙化の要因となっている。

     指導が長引くのは、部活動の制度的な位置づけが不明瞭だからだ。学習指導要領では「学校教育の一環」と定義し、部を設置する法的な義務はない。一方で、教育課程外の「生徒の自主的・自発的な活動」と位置づけ、ほとんどの学校が「校務分掌」と言われる校内の役割分担に顧問を含めて指導にあたらせている。さらに管理職が時間外勤務を命じられる業務を修学旅行や災害対応など4項目に限定する教職員給与特別措置法により、手当が支給される土日以外の指導は「自発的なサービス残業」となる。このため、管理職が勤務時間を把握する意識が薄れると指摘される。

     スポーツ庁は昨年3月、運動部活動の休養日を週2日以上、活動時間を平日2時間、休日3時間までとするガイドライン(指針)をまとめ、各教育委員会などに通知した。文化部活動もほぼ同じ内容で文化庁が指針案をまとめたが、こうした指針には罰則がなく、実効性を疑問視する声もある。【伊澤拓也】

    学習院大

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