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大学倶楽部・拓殖大

笑う顔には「当選」来たるかも 浅野教授、得票率と選挙ポスター分析

専用の機器で選挙ポスターの笑顔度を測る浅野正彦拓殖大教授(画像の一部を加工しています)

 選挙ポスターの笑顔は票につながるのか。こんな疑問を解明中の政治学者がいる。過去の国政選挙のポスターや選挙公報を取り寄せ、専用の機器で候補者の笑顔度を計測。当選結果を基に分析すると、選挙制度や条件で笑顔が与える影響に差があることが分かってきた。今年は統一地方選と参院選が重なる「選挙イヤー」。笑う門には福来たる?

     東京都文京区にある拓殖大政経学部の研究室。浅野正彦教授(比較政治学)がパソコン上の選挙ポスターの顔を読み取ると、笑顔度が最も高い100点と表示された。測定するのはオムロンが開発した「OKAO Vision」。最新の自動顔認証技術で知られ、カメラやスマートフォンなどで採用されている。

     浅野教授は「笑顔の候補者ほど得票する」という研究成果が海外の学会誌に紹介されていることに注目。日本の選挙でも候補者の笑顔がどれだけ票に影響を与えるか、人の主観ではなく、顔認証技術で数値によって証明しようと思い立った。

     まずは顔のデータ集め。2017年10月の衆院選ではゼミ生とともに、各地の選挙ポスターの掲示板を撮影したり、議員事務所に依頼したりして収集した。過去の選挙は、国立国会図書館から選挙公報を取り寄せた。

     1980~17年の衆院選のうち6回分(中選挙区制と小選挙区制3回ずつ)、計約6000人分の立候補者の笑顔度と得票率を分析した結果、選挙区定数を3~5人程度とする中選挙区制から、96年に1人だけを選ぶ小選挙区制に移行すると、笑顔度が得票に与える影響は弱くなった。浅野教授は「中選挙区では笑顔度に表れる『人物イメージ』に基づいて投票する一方、小選挙区で1人だけを選ぶなら、笑顔より政策や政党に基づいて選ぶ」と考察した。

     ただ、17年衆院選の小選挙区の新人候補464人を調べると、選挙区に出馬する人数が多くなるほど笑顔度が得票に有効な傾向が浮き彫りになった。289の小選挙区中、候補者が2~3人の選挙区では笑顔度と得票は無関係だったが、候補者が4人以上だと笑顔度が高いほど得票が増えた。浅野教授は「候補者が増えて類似した政策が入り乱れると、候補者の『見た目』が投票を誘引する可能性が高い」と指摘する。

     また、候補者の年代が上がるにつれ、ポスターの笑顔度は減少することも分かった。当選回数の多い政治家の中には笑顔にこだわらない傾向も垣間見えるといい、浅野教授は「公的な写真は笑うべきではないという規範意識は年配者ほど強い。自分が打ち出したいイメージも影響しているかもしれない」と話す。研究成果は学会などで発表する。【飯田憲】

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