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ラグビーの第55回全国大学選手権決勝で明治大が天理大を22―17で降し、1996年度以来22大会ぶり13回目の頂点に立った。大学日本一に貢献したのは、栃木県佐野市出身で、国学院栃木高OBのフッカー武井日向選手(3年)。170センチと小柄ながら、スクラムの要として「重戦車FW」を引っ張った。
小学3年でラグビーを始め、中学では栃木市のクラブチームでプレー。中学時代の成績はオール5で医者志望だった。ただ、チームは強豪ではなく、高校でラグビーを続けるつもりはなかった。
転機は中学3年の冬だった。国学院栃木高のグラウンドを借りて練習中、その様子を見ていた同校ラグビー部の吉岡肇監督に「お前、勝ちたくないのか?」と声を掛けられた。才能ある武井選手がラグビーを続けるか気になって聞いた一言だった。
何気ない言葉に触発されて「中学時代は連敗続き。一度レベルの高い場所でやってみたい」と花園を目指し、同校入学を決意。入学後は1年から花園のピッチに立った。3年では主将を務め、16強進出に貢献した。
進学した名門・明治大でも1年で伝統の紫紺のジャージーに袖を通し、「重戦車FW」が代名詞となっているチームで2年からレギュラーに定着。U20(20歳以下)日本代表に選出され、ゲームキャプテンも務めた。今季は調子を落とすこともあったが、長所の修正力で次の試合では復調しポジションを譲らなかった。
秩父宮ラグビー場(東京)で1月12日にあった天理大との大学選手権決勝。FWの要としてスクラムやラインアウトを安定させ、突進やタックルなど好プレーを連発した。圧巻だったのは後半21分。ゴール前中央での密集から抜け出し、相手のタックルを振り切りトライを奪った。
「高校の時に吉岡監督から『最後は頑張った選手のもとにボールが転がってくる』とずっと教えられてきた通りだった。努力を続けてきてよかった」と笑顔で振り返る。
「ラグビー人生初の全国制覇は言葉で言い表せないくらいうれしかった。今年以上の努力をして連覇を達成したい」。明治大の95、96年度以来の連覇に向け、更なる飛躍を誓った。【李舜】