メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

大学倶楽部・宇都宮大

学校向け多言語連絡帳アプリ 若林客員准教授が開発

学校向け多言語連絡帳アプリ「E-Traノート」を開発した宇都宮大の若林秀樹客員准教授

[PR]

 学校向け多言語連絡帳アプリ「E―Traノート」を開発している宇都宮大の若林秀樹客員准教授(56)が3月2日、総務省など主催の多言語音声翻訳技術コンテストで最高の総務大臣賞に輝いた。海外にルーツを持つ生徒を支えて20年余。外国人労働者の受け入れが拡大する中、教育現場の課題と今後の展望を尋ねた。

     ◆外国人の子供たちに関わるきっかけは。

     ――公立中で英語を教えていた小山市で外国人労働者が増え、1998年から校内の日本語教室を担当しました。来日直後の指導を担う市の適応指導教室「かけはし」の設立(2008年)にも携わりました。日本語は難しく、母語としない子供に学校で系統立てて教えるカリキュラムや制度も欠けています。なので日本語学習支援だけでは間に合いません。言葉が分からなくてもスタートラインに立てるような工夫も要ると実感しました。

     ◆とはいえ多言語で教えるのは大変では。

     ――県内では多言語化が割と早く進みました。まずは自分でポルトガル語に訳したプリントを作るなどしてきましたが、「じゃあペルー人家族とはどうやり取りする?」「タイ語は? 中国語は?」となりますよね。しかも近年は外国人生徒が散在化していますが、少ない学校ではノウハウの蓄積がありません。

     ◆そこで通訳者より翻訳ツールが役立つのはなぜでしょう。

     ――これまで関わった子供の中で、担任と言葉が通じないことに不満を覚えていた生徒は一人もいません。でも言葉を理由に相手をしてもらえないと不満を持っていました。通訳など外部の特別な人を呼んでも溝は埋められません。言語の壁を取っ払い、周囲の一人一人が関わることで子供の成長をスピードアップさせようというのが、受賞したアプリ名にも通じる「E―Tra構想」です。

     ◆これまでの開発の歩みは。

     ――総務省所管の情報通信研究機構が開発した音声翻訳アプリに学校で使う用語などを数万種類提供し、日本語のフレーズが31言語に音声翻訳されるようにして小山市などの学校で実験的に使ってもらいました。

     ◆E―Traノートについて教えてください。

     ――前述アプリを発展させ、教師が日本語で入力した連絡事項が、送信先の保護者の携帯端末では母語に翻訳され表示されるアプリです。保護者は母語で操作すれば教師に日本語で伝わるので、両者の距離を縮めることができます。今はポルトガル語など3言語のデモ版ですが、なるべく早く実用版を完成させ学校現場に普及させたいです。

    聞いて一言

     学校という保守的な空間で、時代の要請に応じて外国人生徒の支援や多言語翻訳アプリの開発などに先んじて取り組むことは、一筋縄では行かないものだろう。それだけに「明日になれば、今日の非常識は常識になる」という若林さんの信念と情熱が印象に残った。【林田七恵】


     ■人物略歴

    わかばやし・ひでき

     1962年、栃木県下野市出身。86年に県教育委員会に採用され、2010年まで小山市の公立中学などで英語教諭や外国人児童生徒担当。10年に宇都宮大特任准教授となり、16年から現職。

    宇都宮大

    公式HP:http://www.utsunomiya-u.ac.jp/
    所在地:〒321-8505 宇都宮市峰町350
    電 話:028-649-8172

    おすすめ記事
    広告
    毎日新聞のアカウント
    ピックアップ
    話題の記事

    アクセスランキング

    毎時01分更新

    1. チュート徳井さん設立の会社、1億2000万円申告漏れ 東京国税局が指摘

    2. 再審無罪が確実の元看護助手、安堵の表情「両親が安心する」 滋賀・病院患者死亡

    3. 島根大、4学部で新選抜 へるん入試、21年度「一般、特定型」 好奇心や課題意識を重視 /島根

    4. サッカーキング アディダスが日本代表新ユニのリークへ声明発表…正式発表は後日実施へ

    5. 即位の礼 来日中のドゥテルテ大統領、饗宴の儀欠席 バイク事故で痛み、前倒し帰国へ

    のマークについて

    今週のおすすめ
    毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです