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大学倶楽部・東京女子大

学長の茂里一紘さん 人間としての土台を育てる

東京女子大の茂里一紘学長

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東京女子大の茂里一紘学長の「聖書」

 東京女子大学(キリスト教系)の創立100年という節目の昨年、学長に就任した。自身クリスチャンだが「知人はみんな驚きましたよ。『なんでだ』と。出身が工学部ですから。女子大は初めてですし」。

 父母共に小学校の教員だった。しかし父親は家庭の事情もあって、教師を辞めて単身渡った満州(現中国東北部)で徴兵された。敗戦後はソ連に抑留されて亡くなった。1歳の時、母に連れられ、3歳の姉とともに実家のある石川県七尾市へと引き揚げた。

 父は、子供たちに好かれたいい教師だったらしい。自身も小学校の教員になりたかった。「父の無念を晴らしたい」という気持ちもあった。ただ大学進学の時、高度成長の真っ盛りで技術系の学問に人気があった。母親はなぜか教員は反対。自身も興味があった工学部を選択、東京大学に進んだ。「育ててくれたお袋に親孝行したい、という気持ちもありました」

 しかし工学部卒では小学校の教員になるのは難しい。それでも「教育の現場に立てるならば」と、大学院に進学。博士課程を修了、東京大講師や広島大教授などを務め「気がついたら研究者になっていました」。

 教員かつ研究者となってよかったことは、と問うと「研究では、専門の流体工学の分野でやりたいことができました。教育では国内外からの学生がレベルの高い研究をし、学位を取っていくのを見届けるのはやりがいがありましたね」。東京女子大では理事を務めていたが、教員としての経験はない。キリスト教学が専門でもない。「いろんな巡り合わせで、神様が導いてくれたのでしょうか」。学生時代、東京大総長を務めた矢内原忠雄の本を読み、強い感銘を受けた。矢内原の師・新渡戸稲造は東京女子大の初代学長。その後任となることに「重大な使命を感じています」とも。

 東京女子大が「国内外の方々の高い志をもって創られ、一貫して堅持してきた」ことに誇りを持つ。重視してきたのはキリスト教の精神を基盤としたリベラル・アーツ教育。「体幹。人間としての土台である根幹を育てること」だ。「卒業生は教育のアウトカム。学長就任後の1年で、しっかり根を張って生きている多くの卒業生に出会い、本学の教育に確信を強くした」

 18歳人口の減少や女子大学の使命など、課題は多い。それでも「大学の標語である『すべて真実なこと』を心にとめて、次の100年を歩んでいきます」。【栗原俊雄】


 ■私のイッピン

聖書

 東京大に入学した1963年、渋谷の書店で「聖書って何だろう、と何となくひかれて」購入。文語訳や英語訳なども読み、誤植を見つけた。64年に入信。「学生のころ赤線を引いた所は、今の学生にも通じるのでは」


 ■人物略歴

もり・かずひろ

 1945年、旧満州奉天(現瀋陽)生まれ。石川県七尾市で育つ。工学博士(東京大)。広島工業大学長などを歴任。

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