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大学倶楽部・立教大

教員の働き方改革 横浜市教委と書籍化 小中30校の実態調査、データを元に提案

編著者の辻和洋さん(左)と町支大祐さん

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 教員の長時間労働が問題となっている中、立教大の研究室と横浜市教委が共同で、教員の働き方の調査結果をまとめた「データから考える教師の働き方入門」(毎日新聞出版)を出版した。市立小中学校30校の教員の勤務実態を調査し、働き方の改善策を解説する内容で、編著者の辻和洋さんと町支大祐さんは「教員の方はもちろん、地域や家庭でも教員の働き方を考えるきっかけにしてほしい」と呼び掛けている。

 教員の持続可能な働き方を模索しようと、横浜市教委が立教大の中原淳教授(人材開発論)の研究室に調査を依頼し、2017年から共同研究を始めた。市内の小中学校30校約1000人の教員に勤務実態や働き方に対する意識をアンケート調査し、約50人にヒアリングを実施。書籍ではデータを分析し、個人や職場でできる働き方の改善策を提案している。

 調査によると、教員の1日の平均在校時間は11時間42分で、4割が過労死ラインを超える時間外労働をしていた。朝は、約25%が午前6時台に出勤し、約90%は8時までに出勤している。その後も授業準備や保護者・PTA対応、会議で休憩はほぼとれず、約65%は午後7時の時点で職場に残っていた。その上、約80%が休日出勤し、このうちの約1割は休みが全くなかったという。

 辻さんは元新聞記者で、町支さんは元横浜市立中学校の教諭。2人は教員の生の声も丹念に聞き取り、書籍の中で紹介している。そこからは「(自分は)教師としても親としても中途半端」「子どもと関われる時間は減らせない。そこにプライドがある」――など、教員の切実な姿が浮かび上がる。町支さんは「親としても教師としても中途半端、という言葉にすごく共感した」と振り返り、当事者の視点を持ちながら分析を進めた。

 教員の仕事や働き方への意識も調べた。「仕事へのやりがいを感じているか」という問いには約78%が「感じている」と回答。一方で、「教員の仕事を勧めたいか」という問いには約66%が「勧めたくない」と回答している。

 長時間労働への意識については、8割以上の教員が「業務時間を削減したい」と回答した。しかし、時間外業務を削減することには、3割以上が「罪悪感やためらいを感じる」と答えた。同書では、時間をかけた方が教育の質は高まるという教員の心理が長時間労働につながると分析。定時退勤できない雰囲気があると感じている教員と、そう感じていない教員で在校時間に差があることなど、職場が働き方に与える影響も説明している。

 同書では、データを基に、個人と組織それぞれに対し、具体的な改善策を提案している。際限なく時間と労力をかける完全燃焼タイプ、いくらやっても限界がないと感じる不安憂慮タイプ――などに分類し、仕事に優先順位をつけること、振り返りの時間を持つことなどを勧めている。

 組織の取り組みとしては、業務時間の制限だけを行うと、逆にストレスや離職意思が高まるため、業務時間の制限とともに業務自体を減らす重要性などを説いている。会議での時間設定の仕方といった、働き方を見直す具体的なアイデアとポイントも掲載している。

 町支さんと辻さんは「働き方改革において大切なのは、自分たちの働き方は自分たちで決めること。データを対話の土台にしてもらい、少しでも改善につながれば」と話している。【国本愛】


教員の抱える悩みの内容・上位10項目

 (1)授業の準備をする時間が足りない  65.2%

 (2)仕事に追われて生活のゆとりがない 58.7%

 (3)保護者との関係          35.4%

 (4)児童・生徒の関係         35.3%

 (5)管理職以外の教職員との関係    34.3%

 (6)授業や業務が思うようにできない  33.7%

 (7)生活指導の必要な子どもが増えた  33.1%

 (8)校務分掌の仕事が負担である    31.2%

 (9)保護者への対応が負担である    29.2%

(10)仕事に自信が持てない       24.7%

立教大

公式HP:http://www.rikkyo.ac.jp/
所在地:〒171-8501 東京都豊島区西池袋3-34-1

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