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相愛大音楽学部は、ドイツのフライブルク音楽大と共同研究に乗り出した。西洋音楽に雅楽の思想を取り入れる試みで、新しい様式の音楽が生まれる可能性もあるという。
両大は2013年に学術交流協定を結び、留学生受け入れやフライブルク音楽大教授による公開講座などを実施している。今回の研究テーマは「西洋の室内楽と日本の伝統音楽(雅楽)の演奏における意思疎通の比較研究」。同学部によると、西洋音楽は規則正しいリズムを刻む数的秩序に本質があるのに対し、雅楽は人間の呼吸の間合いで伸縮し、ゆったりとしたテンポで始まり次第に自然と早くなるという数的には割り切れない展開をするという。また、通常六つの音からなる和音で奏され、雅楽の中心的役割を担う管楽器の笙(しょう)は、必ず不協和音(ラとシが共存)が伴う。楽譜も、西洋音楽のように正確に音楽を再現するためのものではなく、演奏者の個性を重視する備忘録的な役割を果たしている。
このように西洋音楽とは異なる音楽思想にもかかわらず、雅楽がオーケストラとして成立し、指揮者なしで緻密な合奏がなされていることに、フライブルク音楽大のベルンハルト・ブルフ教授が着目。雅楽の合奏が成立するメカニズムと、西洋の室内音楽の合奏が成立するメカニズムとの間の相違点と共通点について明らかにし、より広い視野から音楽の本質へ迫るための研究を進めるという。ブルフ教授は「この研究の積み重ねによって、西洋音楽の歴史に新たな一歩を刻む、新しい様式の音楽が誕生する」と抱負を語る。
今回の共同研究の一環として、相愛大は5月28日午後6時半から両大の学生による研究発表公演を南港ホール(大阪市住之江区南港中4の4の1)で開く。ブルフ教授による講話も予定している。また、12月14日にはフライブルク音楽大でも同様の公演を開く。
相愛大での研究発表公演は観覧無料。詳細は同大ホームページ。問い合わせは同大広報・情報センター事務室(06・6612・5903)。