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福岡工業大学工学部の松木裕二研究室では、運転の客観的な「危険度」を測定し、危険運転を防止する技術について研究している。運転中のドライバーの注意力や認知力をシミュレーターや画像処理技術を使って分析する。定量的な新指標「POC」で運転危険度を表す。
運転危険度の新指標「POC=probability of collision」とは事故の起こりやすさのこと。運転の危険度は、スピードや車間距離、交通量や見通しの良さなどの「車と周囲の環境」と疲労や居眠り、ながら運転やわき見などの「ドライバー自身の注意力」の二つの要素により決まる。これらを客観的に計測し計算することで、ドライバーの運転危険度を示す指標「POC」が決まる。
松木研究室ではこの「POC」をリアルタイムで測ることができるシステムを開発している。このシステムをドライビングシミュレーターに導入すれば、自分の運転危険度を客観的に見て自覚してもらう教育が可能になる。また、システムを実車に搭載し、ドライバーの運転の危険度を測定してアラートしてくれる車ができれば、無謀な運転や注意力低下が招く事故は減る可能性がある。
また、ドライバーの注意力低下の代表的なケース「居眠り運転」の危険度もスコア化している。シミュレーターに設置したカメラでドライバーの顔を撮影。画像をプログラムで処理し、独自の指標、「開眼率」(上まぶたの閉じ具合を%で表す)を導き出し、運転者が居眠り状態に陥って集中力が低下するリスクも「POC」に算入することができる。
私たちは自己の運転の危険性を客観的に評価することができないが、「POC」によってその危険性に気が付けば、過信から生じる事故を減らすことができる。注意力や認知力の欠如に気が付いていないドライバーに対し、客観的に危険度を自覚してもらうきっかけにも活用できる。松木研究室はリスクを自覚できる「新指標」で交通事故を減らし、生命財産を守ることを目指している。