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大学倶楽部・愛知大

東海キャンパる 巨大地震 学び備える NPO「レスキューストックヤード」代表理事・栗田暢之さんに聞く

栗田暢之代表(左)から話を聞く学生記者

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巨大地震に備えた備蓄品の例

家庭で地域で防災語ろう

 平成生まれの大学生にとって、記憶に残る最初の大災害が2011年の東日本大震災だ。被害を目の当たりにし、防災の重要性を知った。しかし、今はどうだろう。「必ず来る」といわれる南海トラフ巨大地震への備えは十分だろうか、災害に向き合う覚悟はあるだろうか――。「3・11」から間もなく8年。関係者を訪ね、防災について改めて考えた。

 全国の被災地支援や防災・減災の啓発活動に取り組む名古屋市東区のNPO法人「レスキューストックヤード」。これまで50カ所以上の災害現場に向き合ってきた代表理事の栗田暢之さんに学生記者が聞いた。

 南海トラフ巨大地震は、東海沖から九州沖の太平洋海底に延びる溝状の地形(トラフ)に沿って起こるとされる。東日本大震災と同規模のマグニチュード9級となる可能性があり、犠牲者は最大30万人。30年以内の発生確率は70~80%。

 栗田さんはまず、同じ地震でも、備えや取るべき行動は地域によって異なると指摘。例として、地震発生時に内海に面した名古屋港水族館(名古屋市港区)と、外海に面した鳥羽水族館(三重県鳥羽市)にいたと仮定し、被害や対処の違いを説明した。

 名古屋港は渥美半島と志摩半島という自然の堤防の内側で、津波到達まで約1時間40分ある。逃げるのはイルカショーの観覧席。予想津波高は約4メートルなので無事に避難できれば助かる。でも、僕が子どもと一緒なら、津波が来ない熱田神宮に歩くかもしれない。なぜか。観覧席で救助を待っていても、その後2週間は水が引かず、暮らしは難しいからだ。では鳥羽にいたら? 約10メートルの津波が5分で来るため、高台へ必死で駆け上がらないといけない。このように、どこにいるかで全く違う。土地は低いのか高いのか、弱いのか強いのか、津波はどのくらいで来るのか。それらをきちんと理解しないと、正しい行動につながらない。

 次の指摘は、自助・共助の重要性だ。発生当初は行政の支援はほぼ見込めない。生き残ったもの同士が助け合う必要がある。だが、愛知県は町内会などの自主防災組織率が95%と高いのに、存在を知らない人が6割を占めると問題視する。

 「地域で助け合うしかない」というのが、我々が駆けつけた現場の証言。現状では被害を乗り切れない。防災の大切さに気付いた人をいかに増やしていくか。そんな人が「一緒にやろうよ」と話をしていくしかない。家族で、友達同士で、地域で、企業で、防災を話題にしてほしい。

 ボランティアに参加するかどうか、迷っている人には勧めているという。

 「災害ボランティア=泥かき」のイメージがあるが、それだけではない。支援物資の仕分けや避難所の生活環境の改善、子どもたちの遊び相手やペットの世話も。活動がうまくいくかいかないかではなく、何ができるだろうと考えること自体が大事な経験だ。

 最後に栗田さんが改めて強調したのが、学び、備えることだ。

 巨大地震は必ず来る。その時、君たちは大事な人を守る側にいるだろう。被災地は「失うことの悲しみ」を教えてくれた。阪神大震災も東日本大震災も、被災地の人は地震が来ると知らなかった。でも、我々には情報が提供されている。それなら今、やらないといけない。「何を学ぶか」だ。

 ◆取材して一言

愛知大・永原尚大

 昨年末、引っ越した。前の家では地震が起きたらどうするかを家族で話し合った。前と同じで大丈夫と思っていたが、栗田さんの「場所が違えば対策も違う」との指摘に背筋が伸びた。避難所や自治会も違うし、液状化や津波などの被害も異なるのだ。前と同じは通用しない。ここでの備えをすぐにでも始めようと思う。

岐阜女子大・阿知波杏

 真っ黒に塗り潰された一枚の「絵」を思い出した。東日本大震災後、ある幼児が描いたものだ。何もできない自分がもどかしかった。でも、子どもと一緒に遊んだり勉強したりすることも立派な被災地支援と知った。教員を目指す私が学んでいることは、きっと誰かの力になる。もし「次」が起きたら、真っ先に子どもたちの助けになりたい。

愛知大・遠藤扶佐

 周囲と話し合うことが防災の取り組みの要と感じた。被害を最小限にするためには、自分が危険を知り、備えることが不可欠だ。だが、それに加え家族や地域の人、学校と、想定される被害を議論し、協力し、できる限り対策を講じることが大切と気付いた。まずは身近な人と言葉を交わしたい。

被災地の現状 支援団体報告

 東日本大震災被災地の課題を考える「3・11の今がわかる会議in名古屋」が1月末、名古屋市内で開かれた。被災者支援に携わる団体が活動を報告した。2例を紹介する。

 ●福島

 福島県内で活動するNPO法人「みんぷく」は、原発事故の避難者が暮らす各地の公営住宅でコミュニティーづくりを支援。長谷川秀雄理事長は、入居者の新しいつながりが形成されつつあると話す。一方で、自然災害からの復興論を原発事故に当てはめることに疑問を呈し「国や行政は帰還に傾斜するが、戻れない・戻らない決断をした人もいる。その選択を尊重し、支援していくことが必要」と述べた。(永原尚大)

 ●宮城

 宮城県社会福祉協議会の北川進氏によると、県内に最大2万戸超あった仮設住宅は266戸に。大半は災害公営住宅や再建した自宅に移り、住民有志の見守り活動など被災者同士の支え合いも始まった。一方で、孤独死や自殺が起きているという。北川氏は「潜在的ダメージを抱えている人が多く、公営住宅だから『もう大丈夫』ではない。困った時に『助けて』と言える存在が大事」と強調した。(中川裕喜)

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