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吉備国際大農学部が開発に協力した「淡路島なるとオレンジ」の香りを楽しめる自動販売機が兵庫県淡路市、南あわじ市、洲本市など9カ所に設置されている。
淡路島なるとオレンジは、200年以上前から淡路島でだけ栽培され、他の品種との交配もなく「幻の果実」と呼ばれている。普通の温州みかんよりも大きくて酸味と皮の香りが強く、グレープフルーツのような香りが特徴だ。
この淡路島固有の特産品をPRしようと、飲料メーカーのダイドードリンコが開発し、同大農学部の金沢功助教がデータを分析して香りを再現した。同大は淡路島固有の柑橘(かんきつ)ナルトについて、さまざまな研究に取り組んでいる。今回、ダイドードリンコから香る自販機に淡路島なるとオレンジの香りを使いたいと相談があり、共同開発が実現した。
淡路島なるとオレンジは香りが強いという特徴から、かんきつの加工品としては珍しく、果皮を主として消費されてきた。特有の香りは春から新緑の頃にかけて最も強く、年間を通じて香りを楽しむためには人工香料の開発が不可欠であり、淡路島なるとオレンジのPRに一役買うと期待されていた。1年ほど前から研究を重ね、3月中旬ごろに香りの再現に成功した。金沢助教は「地元住民から『この香りは本物だね』と言ってもらえたことが何よりもうれしかった」と話す。
自販機は、正面の小銭投入口の手前に香りが出る噴出口があり、スイッチを押すと、商品の購入にかかわらず何度も香りを楽しめる。
自販機は学内にも2台設置している。同大の担当者は「業務や実験の合間に、かんきつ系のさわやかな芳香に鼻をくすぐられる。一度体験してみてください」と話している。今後もダイドードリンコと協力して、同自販機の設置台数を増やしていく予定だ。