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工学院大学(佐藤光史学長、所在地:東京都新宿区/八王子市)の情報学専攻博士課程2年生でポーラ化成工業株式会社(本社:横浜市、釘丸和也社長)の研究員を務める黒住元紀さんが、日本心理学会第84回大会(9月8日~11月2日、ウェブ開催)において発表タイトル「頰の運動の遅れが視覚知覚に及ぼす影響」で優秀発表賞を受賞した。これまでは静止した顔の研究が多数すすめられてきたが、時間を伴う「動き」に着目した研究で、よりリアルな顔の「魅力」の根源に迫っている。
従来の研究では、顔を動かした際、加齢により頰の肌が遅れて動くことが解明されており、この現象が顔の印象に与える影響について詳細に調べるため、顔の動きを表すモデルを被験者に提示する試験を行った。モーションキャプチャで取得した10人の日本人女性の顔モデルをもとに頰の動きを加工し「遅延なし/遅延あり」の2種類、合計20種類の顔モデルを作成。25人の日本人男女が「魅力的である/魅力的でない」で評価した。「魅力的である」の選択率を「遅延なし」と「遅延あり」それぞれについて算出したところ、遅延ありの場合において魅力度の低下がみられた。このことから「物体の動きにおいては気づきにくい0.1秒程度のごく僅かな遅れであっても、人の顔に生じる場合には感知されやすくなる」こと、「わずか0.1秒の遅れがほお部に生じると顔の魅力度が低下する」ことが新たに解明された。
私たちの普段のコミュニケーションにはさまざまな動きや表情が伴う。特にウィズコロナでビデオ会議などが当たり前となった今、画面に映された相手の顔のみが見えるということも増加している。動いている顔を人がどのように認知し、どのような印象を受け取るのかを明らかにする研究は、今後ますます重要になると考えられる。