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大学倶楽部・神田外語大

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国内でできる新しい留学スタイル「海外スタディ・ツアー2.0」

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リトアニア・ヴィータウタスマグヌス大とをオンラインでつなぎ、授業を受ける神田外語大GLA学部の学生たち=7月2日、福島県天栄村のブリティッシュヒルズで 拡大
リトアニア・ヴィータウタスマグヌス大とをオンラインでつなぎ、授業を受ける神田外語大GLA学部の学生たち=7月2日、福島県天栄村のブリティッシュヒルズで

 4月に新設された千葉市美浜区の神田外語大グローバル・リベラルアーツ学部(GLA)の1年生53人が、海外4大学とオンラインでつなぎ、現地の大学の授業を受けたり、学生たちと交流したりする「海外スタディ・ツアー2.0」を受講した。6月27日から7月23日までの4週間にわたるプログラム。1週間ごとにリトアニア、イスラエル・エルサレム、インド、マレーシア・ボルネオにある大学とオンラインでつなぎ、多文化共生や宗教、人道支援、歴史など各地域のテーマについて学びを深めた。

 GLAは「平和のためのグローバル教養」をコンセプトに、少人数教育による高度な言語運用能力と、広く深い教養に裏打ちされた人材育成を目指して開設。入学直後の約3週間にわたる海外スタディ・ツアーや3年生でのニューヨーク州立大への留学という2度の海外体験がカリキュラムに組み込まれている。コロナ禍で海外渡航が難しい中、今年度の入学生は、海外スタディ・ツアーが現地との双方向型オンラインプログラムに切り替えられた。

 前半の2週間はリトアニアとエルサレムをつないだプログラム。時差が6時間あることから、神田外語大を運営する佐野学園がもつ英語研修・宿泊施設ブリティッシュヒルズ(福島県天栄村)で実施された。

 最初のリトアニアは、現地の提携校、ヴィータウタスマグヌス大との共同プログラム。リトアニアは第二次世界大戦時に旧ソ連やナチス・ドイツに侵略された歴史を持つ。ユダヤ人の強制収容所が設けられ、大量虐殺もあった国だけに「人道」をテーマに「20世紀以降の中東欧史」や「紛争と対立からの脱却」などに関して学びを深めた。

 2週目のイスラエル・エルサレムは、ヘブライ大の教員や学生たちとともに「宗教の多様性」や「イスラエル・パレスチナの歴史」について学んだ。

 前半の2週間は合宿形式だっただけに、英語漬けの毎日に。今回のプログラムを企画し、学生たちに同行した同大学の豊田圭一客員教授は「オンラインとはいえ、学生たちには観光的なものではなく、世界の現状に触れることで問題意識を持ってもらい、これからの学びにつなげようと考えた」と説明する。参加した学生たちからは「ハードなプログラムだったが、日本とは歴史も宗教も文化も違う国の人々とコミュニケーションをとることで、共通理解を得ることの難しさを感じた。今回の学びが、実際に海外で学ぶ時に役立つのではないかと感じた」という感想が寄せられた。

福島県の浜通り地域を訪れ、東日本大震災と東京電力福島第一原発事故の被災地を巡る学生たち=7月3日 拡大
福島県の浜通り地域を訪れ、東日本大震災と東京電力福島第一原発事故の被災地を巡る学生たち=7月3日

 7月3日には福島県の浜通り地域を訪れ、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故による被災地を見学。双葉町の東日本大震災・原子力災害伝承館や富岡町の東京電力廃炉資料館を訪ねたほか、避難先から集まった町民と意見交換もした。被災地訪問後、学生からは「当事者にしか見えないことがあることを知った。当事者意識を持って今後も復興について考えていきたい」という声が聞かれた。7月7日には、学生らが自身の考えを持った上で、東京電力社員とのディスカッションが行われ、活発な議論の場となった。

 この後、12日からは同大に戻り、インド・シンバイオシス国際大とのプログラムが始まった。インドはIT大国として知られている一方、深刻な貧困などの問題を抱えている。シンバイオシス国際大は「インドのオックスフォード」として知られているプネーにあり、「多様性」に関するテーマや「貧困と格差」「多文化共生」について深く学んだ。インドのヨガや祭りといった文化を学んだり、現地の学生と交流したりする時間もあり、単なる講義形式の授業だけでなく、アクティブラーニングを取り入れた構成となっていた。

 最終週はマレーシア・ボルネオにあるスウィンバーン工科大サラワク校とのプログラム。多民族・多宗教国家として、多様な価値観と文化が融合しているマレーシア・ボルネオ島には世界有数の熱帯雨林がある。学生たちは「多文化共生」や「宗教の多様性」「開発とサステナビリティーの両立」などについて、現地の教員の授業を受け、同工科大の学生たちとグループディスカッションを行った。

 学生たちからは「英語は使えるほうだと思ったが、現地の大学の授業は専門的な用語も多く、ついてゆくのが大変だった。語学力だけでなく、自分なりの課題もたくさん見つかり、これからの大学での学びに生かしていきたい」「オンラインだからこそ、すべての地域について学ぶことができ、興味が広がった。いつか現地には行きたいが、オンラインでも学ぶことは多い」といった声が上がっていた。

 GLAでは、入学直後の6カ月間を「グローバル・チャレンジ・ターム」と位置づけている。学生たちは、この期間に「何を学ぶのか」「自分は世界に対して何ができるのか」を考え、目指すべき道を見つけるが、その大きな柱となるのが、今回のプログラムだった。三菱みらい育成財団から「21世紀型教養教育プログラム」に採択されており、コロナ禍でリアルな留学が難しい中、オンラインを使ったユニークなプログラムとして注目を集めている。豊田客員教授は「学生たちの深い学びにつながるものとして、今後もうまく活用しながら、神田外語大の教育の目玉になるようにしていきたい」と話していた。

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