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法学研究所「学生と市民のための公開講座」 芸能従事者を巡る法的課題を解説

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芸能従事者を取り巻く現況について説明する芦野教授 拡大
芸能従事者を取り巻く現況について説明する芦野教授
講師を務めた森崎さん
講師を務めた森崎さん

 専修大学法学研究所は、公開講座「文化・芸術・芸能と法の現在」を対面とオンラインのハイブリッドで1月13日に開催した。俳優で日本芸能従事者協会の森崎めぐみ代表理事と、法学部の芦野訓和教授が、芸能従事者を取り巻く現況と課題について話した。

 森崎理事、芦野教授によれば、企業などに属さず、フリーランスとして活動する芸能従事者の立場は弱く、不利な条件で業務に従事せざるを得ない状況が生じているという。森崎さんは一例として、仕事の受発注が口約束で行われることが多い点を挙げ、「契約書を作らない業界の慣習が、コロナ禍において持続化給付金申請の障壁になった」と説明。また、芸能従事者の立場・権利が弱い背景には、業界特有の重層請負構造(7次下請)があると指摘した。

 講座では、芸能従事者を巡る課題として「ハラスメント」も取り上げた。日本芸能従事者協会では、文化芸術・メディア・芸能従事者を対象にアンケートを実施。9割以上の人がパワハラを、7割以上の人がセクハラを受けたり、見聞きしたりしたことがあるという調査結果を示した。

 森崎さんの講演を受けて芦野教授は、芸能従事者の労働環境改善に向けて2022年7月に文化庁から「文化芸術分野の適正な契約関係構築に向けたガイドライン」が公表されたが、これは必要最低限の指針を示したものに過ぎないと述べ、「今後は文化・芸術・芸能に携わる者の特性を反映させた形での対応が望まれる」とまとめた。

 今回の公開講座は「2022年度学生と市民のための公開講座『法と政治の現況2022』」の3回目。昨年12月6日に開講した初回は、法科大学院の遠藤輝好教授が「18歳成年社会と法律」と題して講演。「教員の働き方改革」をテーマに、埼玉大学の高橋哲准教授が担当した同月19日の第2回では、法学部の長谷川聡教授がコメンテーターを務めた。

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