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ユニバ・リポート

ウェブアクセシビリティ−の意義は多様性の尊重−−ミツエーリンクスが……

写真=ミツエーリンクス本社で開かれた報告会

ウェブアクセシビリティ−の意義は多様性の尊重−−ミツエーリンクスがCSUN2016参加報告セミナー

 3月に米サンディエゴで開催された障害者とテクノロジーの国際会議「第31回CSUN(シーサン)カンファレンス2016」参加報告会が4月末、東京都新宿区のミツエーリンクス本社で開かれた=写真。障害者にも使いやすい支援技術の研究開発に力を入れてきたカリフォルニア州立大学ノースリッジ校(CSUN)が、1985年から毎年春に開催する世界最大級の支援技術の展示会で、全世界からのべ約1万人のコンピューター研究者や開発者、障害当事者が参加する。

     画像コンテンツにテキスト(文字)で解説を付与する代替テキストなど、障害者や高齢者の使いやすさに配慮したウェブサイト制作を意味する「ウェブアクセシビリティー」。この普及に取り組むミツエーリンクス社長兼最高技術責任者(CTO)で、ウェブアクセシビリティ基盤委員会(WAIC)委員の木達一仁さんは、今年のCSUNでインフォアクシア社長で、同委員会委員長の植木真さんと行った講演について、十分普及の進んでいないウェブアクセシビリティーの価値を見直すリブランディングを提案したことを紹介した。

     木達さんは、ウェブアクセシビリティーを推進する上でしばしば話題となる費用対効果(ROI)の問題を取り上げて「ウェブサイトの構築や運用において、アクセシビリティー対応だけを切り出し費用対効果を計測することは難しい。だが、短期的な収益につながらなくとも普及したウェブ標準への準拠と同様、ユーザーの満足度を高め、優れたユーザー体験(UX)を提供するために必要不可欠の品質と位置づけられる。決して障害者や高齢者といった特定の人向けにフォーカスするものではない」と訴えた。

     一方、2004年に日本初のウェブアクセシビリティーについてのガイドラインとして公示された経済産業省の日本工業規格「JIS X 8341−3 高齢者・障害者等配慮設計指針 − 情報通信における機器、ソフトウェア及びサービス − 第3部:ウェブコンテンツ」の策定に当初から関わった植木さんは、今年3月に同規格の改定版である「JIS X 8341−3:2016」が公示されたことを紹介した。

     ウェブアクセシビリティーについては現在、国際的なウェブ標準化団体であるW3Cが策定した「ウェブコンテンツ・アクセシビリティガイドライン(WCAG)2.0」が世界標準となっており、日本では10年の改定で「JIS X 8341−3:2010」でも同じ達成基準を設けている。

     植木さんの解説によると、WCAG2.0ではウェブコンテンツが満たすべき達成基準としてレベルA、レベルAA、レベルAAAという三つのレベルが定められており、諸外国の公的機関のウェブサイトではほとんどレベルAAが品質基準と考えられているという。

     最後に植木さんは「ウェブアクセシビリティーが世界で初めて訴訟の対象になったのは00年のシドニー五輪で、視覚障害のある利用者が組織委員会の公式サイトを十分に使用できないと訴えたことから」として、「20年の東京五輪・パラリンピックが日本のウェブにとってアクセシビリティー向上のきっかけになってほしい」と話した。【岩下恭士】