ユニバ・リポート

東京でNVDAワールド2017--無料のウィンドウズ画面読み上げソフトを紹介

写真=日本マイクロソフト本社で開かれた「NVDAワールド2017」

 パソコンのディスプレーが見えなくてもウィンドウズが使える無償の視覚障害者用画面読み上げソフト「NVDA(エヌブイディーエー=ノンビジュアル・デスクトップ・アクセス)」の最新機能を紹介するセミナー「NVDAワールド2017」が10月31日、東京都品川区の日本マイクロソフト本社で開かれ、利用者やソフト開発者ら約50人が参加した=写真。NVDAは、2006年にオーストラリアの2人の全盲プログラマーが開発したウィンドウズ用スクリーンリーダー。オープンソース(無償公開)のソフトとしてインターネット上で提供されており、現在、全世界の約40言語に対応している。セミナーは、広島市立大学協力研究員の西本卓也さんらNVDA日本語チームが主催した。

     NVDA日本語版はウィンドウズパソコンの画面情報を音声合成エンジンで読み上げるほか、外部ピンディスプレーによる点字表示も実現した。最大の特徴はインターネット上で誰でも無料でダウンロードして使えること。アップルコンピューターにはボイスオーバーという読み上げ機能が標準搭載されているが、これまで視覚障害者がウィンドウズを使うためには、世界的に利用されている「JAWS」のようにパソコン本体よりも高価なスクリーンリーダーを別途購入する必要があった。

     セミナーでは、エクセルやパワーポイントといったマイクロソフトのオフィス製品が読み上げ環境で使いやすくなるなど、ビジネスツールとしてのNVDAの活用法が紹介された。西本さんはまず、NVDAの開発思想について説明し、▽視覚障害の有無にかかわらずすべてのウィンドウズユーザーが機能を同じように使える▽使い方が違っても追加費用を必要としない▽障害者専用のデザインにせずユニバーサルデザインを実現▽ウィンドウズのバージョンや32ビット、64ビットなどに関係なくどれでも使える--と説明。そのうえでウィンドウズ10では最もNVDAの機能が発揮されることなどを説明した。

     次に、▽NVDAの要素リストを使うことで矢印キーで自由にセル番地を移動できる▽フォーカスモードとブラウズモードが切り替えられる--など、エクセルの使いやすさについても紹介。西本さんは「NVDAインドチームはエクセルの罫線(けいせん)や色も読み上げるようにした」など世界的な取り組みの広がりをアピールした。またウィンドウズ以外でも、グーグルの協力でNVDAによるクロームの読み上げが進んでいることを明らかにした。

     一方、日本マイクロソフトアクセシビリティチームの大島友子さんは、ウィンドウズ7からマイクロソフトが標準搭載するようになった簡易読み上げ機能の「ナレーター」が、ウィンドウズ10で大きく機能強化されたことを紹介。今後のウィンドウズのアップデートについては、バージョンが10のままで変わらないことや、スケジュールが春と秋に固定されたことを明らかにした。ナレーター読み上げの新機能については、▽編集モードとは別のスキャンモードにすると矢印キーで飛ばし読みを設定できる▽ナレーター用のショートカットキーで「w」を押すとワード文書全体を読み上げる▽EPUB文書が読めるようになった--などと説明した。

     さらにAI(人工知能)を利用したアクセシビリティーについては、iPhoneで画像や文字認識ができるオフィスレンズや「シーイングAI」などのアプリにも触れて、「ネット環境で使えるシーイングAIはまだ英語だけだが、iPhoneのカメラを向けた方向に映ったものを説明してくれる」と話した。

     会場ではマイクロソフトの最新のメガネ型端末「ホロレンズ」や視線入力技術などが展示され、参加者の関心を集めていた。【岩下恭士】