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ユニバ・リポート

誰もが演奏しやすい共遊楽器--川崎でワークショップ

写真=会場に展示された「共遊楽器」

 手が不自由でも弾きやすいギターやピアノが弾ける義手など障害のあるミュージシャンをテクノロジーで支える取り組みを紹介するワークショップが15日、川崎市内で開かれた。セミナーは、2020年東京五輪・パラリンピックに向けてスポーツや文化芸術をすべての人が楽しめる共生社会の実現を目指す川崎市と英国の国際文化交流機関ブリティッシュ・カウンシルが主催した。

     ワークショップでは25年前から電子楽器などの技術を使って障害のある音楽家を支援してきた英国のNPOドレイク・ミュージックのメンバーや、日本の楽器デザイナーらが考案した障害の有無にかかわらず演奏しやすいバリアフリー楽器などを紹介した=写真。

     当日、イギリスからインターネットを通して講演したドレイク・ミュージック研究開発部門のガウェン・ヒュイットさんは、上肢障害のあるプロの音楽家、ジョン・ケリーさんが考案したギターを紹介。楽器の傾きでキーやコードを変えられることなどを説明した。また、超音波が手の動きを感知して音程を変えられる楽器やメガネに装着する指揮棒など考案した楽器を取り上げて、価格が高いことを唯一の課題とした。

     音を振動に変えて聴覚障害者も楽しめる楽器インターフェースなどを開発している慶応義塾大学大学院メディアデザイン研究科研究員の金箱淳一さんは、玩具メーカーに勤めていたときに楽器を演奏したいという聴覚障害児の話を聞いて誰もが演奏できる共遊楽器を作ろうと思いついたことを説明。マラカスを振ると床や天井にキャラクターが表示されたり、音に反応して振動したりするユニバーサルデザインの楽器端末を紹介した。

     後半のパネルディスカッションでは「障害の有無にかかわらず誰もが遊べる楽器の汎用性」について日本側のデザイナーが「障害者だけのため」ではないセンサー技術の多様性を強調したのに対して、ドレイク・ミュージックからは「現在は障害者に特化した技術で汎用(はんよう)性については考えていない」とコメント、日英の意識のずれが浮き彫りになった。また健常者と障害者が同じプロジェクトに参加する場合、健常者は企業などの被雇用者が多いが、障害者は無職であることが多く、経済的な格差も課題になることが指摘された。【岩下恭士】

    ◆動画=「共遊楽器」事例の紹介