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ユニバ・トーク

5月18日 半分、青い

 友人の中には両耳が全く聞こえない聴覚障害者が何人もいる。中には口話ができたり、全盲の僕が話した言葉を音声認識アプリで文字化して見ながらリアルタイムの会話ができる人もいる。4月からNHKテレビで放映中の連続テレビ小説「半分、青い」のヒロイン、楡野鈴愛(永野芽郁)は左耳が聞こえないハンディを乗り越えてプロの漫画家を目指すというストーリー。ステレオヘッドホンのオーディオサウンドが楽しめないのは残念かもしれないが、片耳が聞こえないなんてことは生きていく上でたいした問題ではあるまいなどと、正直、思ってしまう。片目が見えないこともしかりだ。

     ドラマを見ていて真っ先に思い出したのが、昨年の点字毎日文化賞受賞者である、支援技術開発機構の河村宏さんだ。1995年にトルコ・イスタンブールで開かれた国際図書館連盟(IFLA)会議に参加する河村さんに同行取材した時、機内で「左は全然聞こえないから右に座ってください」と言われて、席を替わったことがある。現在、全世界でデジタル録音図書の国際規格として普及しているデイジー(DAISY)の生みの親だ。

     もう一人、思い浮かべたのは、僕が一昨年から始めたエレクトーンを習っている東京・世田谷の音楽教室クレッシェンドMの宮本万希子さんだ。初回のレッスンの時に「実は僕、両目が全然見えません」と話すと、「はい、聞きました。それでこんなものを作りました」と言って、エレクトーンの液晶パネルにかぶせて楽曲ファイルの番号を触って選択できるようにした操作ガイドを見せてくれた。

     河村さんと同様、宮本さんも左耳が聞こえない。二人とも聴覚にハンディを持ちながら、だからこそかもしれないが、あえて音を扱う道を選んで、多様な障害のある人を当たり前に受け入れていることが、なんとも興味深い。【岩下恭士】