ユニバ・トーク

12月19日 一人で行けるもん!

 先週、すべての人が使いやすいユニバーサルデザインの場所や空間を設計するコンサルタント会社の人と一緒に、羽田空港国際線旅客ターミナルで障害者への声かけや音声ガイド、誘導ブロックなどの実態調査をしました。一人で海外旅行を楽しんでいる早期中途失明の全盲者ということで、僕にモニターの依頼がありました。白杖(はくじょう)を持って、京浜急行の羽田空港国際線ターミナル駅改札口から、自力で搭乗カウンターまで簡単にたどり着けるか試しました。

     当日は、羽田空港国際線旅客ターミナルの2階到着ロビーにあるタリーズコーヒー店前で調査スタッフと待ち合わせました。事前に「必要でしたら駅の改札口まで迎えに行きます」と言われていましたが、周囲の反応を試すことも大事だろうと思って断りました。

     改札口を出て真っすぐ前に向かって歩いていると、やや右方向から「羽田空港国際線ターミナル到着ロビーはこちら」と音声ガイドが聞こえたので、そちらの方へ向かうと2階へ上がるエスカレーターがありました。エスカレーターを降りると広々としたフロアで、多くの利用客が行き交う足音が響いていました。いつもならこちらから「すみませーん、タリーズコーヒーはどちらでしょうか?」などと近くの人に声をかけますが、今回は調査なので、あえて周囲からの声かけを待つことにしましたが、誰も声をかけてくる気配はありませんでした。

     6月に一人で行ったパリのシャルル・ドゴール空港とは全然違いました。パリでは僕がベンチから立ち上がっただけで、「何か手伝おうか?」と近くに座っていた人が声をかけてきました。結局、搭乗カウンター近くまで行ったところで職員に声をかけられるまで、一般の利用者は誰も声をかけてきませんでした。2020年の東京五輪・パラリンピックで「おもてなし」と言っていますが、本当に大丈夫なのかなあと思いました。

     以前、政府のユニバーサルデザイン有識者会議で「全盲者は必ず家族やヘルパーが付き添うから、スタジアムなどに誘導ブロックや音声案内などを設置する必要はないでしょう」という意見が出たそうです。実際には僕のように、ライブコンサートや映画鑑賞などを一人で楽しんでいる全盲者は存在します。先のような発言は本末転倒だと思います。一人でも不都合がなければ、行く人ももっと増えるでしょう。【岩下恭士】