ユニバ・トーク

4月1日 創造的破壊

 社会科学分野の院生時代、シュンペーターの研究者だった指導教授から初めてこの言葉を聞いたとき、「イノベーション(技術革新)というのはそういうものか」と思った。「創造的破壊」とはオーストリアの経済学者、ヨーゼフ・シュンペーターが提唱した用語で、効率的な技術が見つかると、それまで主流だった非効率な技術や製品は駆逐されていくという経済発展の法則。例えば携帯電話やスマートフォンの誕生によるポケベルの消滅だ。

     20年前、パソコン好きの人たちが情報技術(IT)を使って障害者や高齢者をサポートするボランティア活動、「パソコンボランティア」、通称「パソボラ」が注目された。その流れは現在、スマートフォンやタブレットなどのモバイルテクノロジーを使った情報支援に受け継がれている。

     聴覚障害者向けの情報保障では、授業や講演で話された音声言語をボランティアがキーボード入力で文字起こしする要約筆記、視覚障害者向けには活字書籍を専用の点訳ソフトを使ってボランティアが点字に変換するパソコン点訳がある。だが最近、「UDトーク」のように音声言語をリアルタイムに文字に変換する技術や、エクストラのように電子化された文字(テキスト)を自動的に点字に変換する技術が進化して、ボランティアが手作業で文字を打ち込むような作業はどんどん自動化されつつある。

     1月にイスラエル・エルサレムの視覚障害者用活字読み取り人工知能(AI)メガネ開発会社、オーカム・テクノロジーズ本社でCEO(最高経営責任者)のジブ・アビラム氏にインタビューした。彼が自動運転技術を手がけるインテル傘下のモービルアイの共同創業者でもあることから、「将来、レベル5の完全自動運転車が実用化されたら、僕のような全盲者が一人で乗れる車やヨット、飛行機を作ってください」とお願いした。

     早く僕でも週末に自家用ロケットで宇宙散歩を楽しめるような時代がやって来てほしい。【岩下恭士】