ユニバ・トーク

4月12日 パラスポーツ、本当に楽しい?

 前から疑問に思っていることがある。障害のない一般の子供たちを対象にしたパラリンピックスポーツ体験イベントだ。東京都では、2016年から都内の全公立学校でオリンピック・パラリンピック教育が実施され、アスリートを招いて各競技種目を一緒に体験できるようなイベントを開いている。企業の中にもオリンピック・パラリンピック教育推進支援事業を積極的に業務の中に取り入れているところがある。20年東京大会を盛り上げるためにも、それ自体は大変けっこうなことだと思う。だが、たとえばアイマスク着用が義務づけられるブラインドスポーツの場合、普通に目の見える子供たちがいきなり目の見えない状態にされて走り回ったりボールを捕まえたりするのを本当に楽しめるものなのか僕には分からない。

     そのことを親しいテレビ局の人間に話したら「子供の中にはアイマスクをされた瞬間に泣き叫んだり、怖がったりする子もいます。ところがテレビニュースに出るのは楽しそうにふるまった一部の子供なんです。そうしないと目の見える子と見えない子が一緒にスポーツを楽しみましたという話にはならないから」と笑った。

     この話は極端な例かもしれないが、できないことより、できることが喜べるようになるにはそれだけの時間がかかると思う。それを無視して障害のない子に突然パラスポーツ体験というのはかなりむちゃな話だ。僕が思うのは、多くの子供たちが障害者スポーツを恐怖体験として心の中に焼き付けないでほしいということだ。昨今のパラスポーツ報道には東京五輪・パラリンピックを成功させなければならないという焦りか、どこか「やらせ」に似た白々しさを感じてしまう。【岩下恭士】