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7月4日 マイクロソフトの失敗

 マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏が今日のスマートフォン全盛時代にグーグルのアンドロイドを超える技術を生み出せなかったことを悔やんだ発言が話題を呼んでいる。先ごろ米国で開かれた創業者向けベンチャーイベントでのことだ。ユニバーサロンのテーマである誰もが使いやすいユニバーサルデザイン製品という視点で同社のWindowsコンピューターを考えてみると、マイクロソフトの最大の失敗はWindowsにスクリーンリーダー(画面読み上げ機能)を標準搭載しなかったことだろう。そのために私たち視覚障害者はパソコン本体よりも高価なサードパーティー製読み上げソフトをWindowsOSのアップデートの度に買い直さなければならなかった。ちなみに同社はWindows7からナレーターという簡易版のスクリーンリーダーを標準搭載するようになったが、あくまでも起動時の画面確認程度で使えるもの。

     「視覚障害者がWindowsパソコンを使うためになくてはならない画面読み上げソフトや画面拡大ソフトを、いつも別途購入しなければならないのは不平等」と考えたオーストラリアの全盲プログラマー、マイケル・クランさんとジェイムズ・テフさんは2006年4月、Windows用の無償スクリーンリーダーNVDA(Non Visual Desktop Access)をネット上で公開した。英語で開発されたこのソフト、いまや40言語以上に対応して全世界120カ国に広まっているという。記者も実際に使い始めてうれしかったのは、Windows10に対応した最新版で、Windowsの文字認識機能に対応して、撮影した写真などの画像の中から文字を抽出して読み上げることだ。

     視覚障害者にとって、マイクロソフトよりアップルがすばらしいと思うのは、すべての製品にVoiceOverという画面読み上げ機能を標準搭載していること。それによって視覚障害者も購入する前からMacBookもiPadもApple WatchもiPhoneも新製品が出る度に、アップルストアの店頭で何が変わったのか自由に試すことができる。アップル創業者のスティーブ・ジョブズ氏はVoiceOverを障害者向けの特別な配慮ではなく、誰にとっても便利さを提供できると確信していたらしい。そもそも、視覚障害者も凹凸の全くないスクリーンをタッチして使えるという発想はこれまで誰も考えつかなかったこと。まさにジョブズの名言にある「Think different!」だ。【岩下恭士】