ユニバ・トーク

1月26日 QRコード

 コロナ禍で対面取材がままならない昨今だが、ユニバーサロン編集部には障害のある人にも使いやすい製品やサービスの取材依頼がたくさん寄せられる。とても全部にはお応えできないけれど、大変うれしいことだ。

     そんな中に樹脂製で何度触っても点がつぶれない最新の印刷技術を用いた点字書籍があった。これはすばらしいと思って早速指で点字を追ってみると、表記がめちゃめちゃで明らかに点字を全く知らない人間が作った本であることが分かった。

     点字初心者に一番多い誤記は、日本語仮名点字は表音文字が原則であるにもかかわらず、助詞の「は」や「へ」を「わ」「え」に改めずそのまま書いてしまう例だ。コンピューターの自動点訳にもありがちな誤記なので読み手であるこちらの方が慣れてしまったものの、思わず指が止まったのは「QRコード」。英字と仮名文字が混在する場合、両者が続く場合、スペースを設けるのが表記法のルール。これを「分かち書き」と言う。なぜ続けないかというと、「コード」の「コ」の形は英語点字では「@(アットマーク)」になるため、メールアドレスなどと誤認識する恐れがある。そのことを書籍制作者に伝えると「ああそうなんですか」と言われて思わず絶句した。印刷前に正しく点字の読める視覚障害者にチェックしてもらえばすぐに直せることなのだが、その校正費がないとのことだった。

     デジタル技術は世界中の言語を自動翻訳したり、点字や手話もかなりの精度で機械翻訳してくれるレベルになりつつある。だが技術に頼る前に、まず使用者の生の声に耳を傾けてほしい。【岩下恭士】