ユニバ・リポート

YouTubeで動画に字幕と手話も同期配信--メディア・アクセス・サポートセンターが試行開始

 バリアフリー映画の普及を目指すNPO法人「メディア・アクセス・サポートセンター」(MASC、常世田良理事長)=東京都渋谷区初台1=の理事会が21日、オンラインで開催された。参加者らは、字幕を表示する眼鏡型ディスプレーの映画館への貸し出しや音声認識ソフトを活用した記者会見の字幕化などの現状を紹介した。

     MASCは、字幕と音声ガイドを活用し、視聴覚に障害がある者も楽しめるバリアフリー映画の普及を目指している。理事会には、日本映画製作者連盟の華頂尚隆事務局長や日本ライトハウスの橋口勇男専務理事らが参加した。

     冒頭、MASCの川野浩二事務局長が眼鏡型ディスプレー「字幕メガネ」について報告した。MASCは、字幕メガネで利用できるアプリ「ハロー!ムービー」で映画の字幕コンテンツを配信している。このアプリを起動させ、メガネに字幕を表示させれば、同時にスクリーンを見ることができる。川野さんは「コロナ禍で15館が休止中だが、現在69館に貸出中」と説明。今後は全都道府県で100館を目標に導入を進めるという。字幕メガネの貸し出し状況はMASCの専用サイト「映画みにいこ!」(https://www.bfeiga.net/jm)で確認できる。

     川野事務局長は、東京都知事の定例記者会見の内容をリアルタイムで字幕化する取り組みも取り上げた。都知事の定例記者会見では、4人のスタッフが音声認識ソフト「UDトーク」を利用して知事の発言を字幕に整え、YouTube(ユーチューブ)で同時配信しているという。また、YouTubeの自動キャプション生成機能についても言及。動画本編のテロップなどとかぶらないようバリアフリー字幕を欄外に表示したり、別枠に手話動画を表示したりできることを紹介し、「グラフや図表中心のコンテンツは枠外に字幕表示することで見やすくなる」と語った。今後は、独立行政法人「情報通信研究機構」(NICT)の助成を受け、放送大学の授業動画など教育用コンテンツで、スクリーンの左半分に字幕、右半分に手話を表示させて配信するサービスを6月から試験導入するという。

     日本ライトハウスの林田茂・サービス部長は、活字印刷物を音声読み上げなど媒体変換することで著作権上の壁を取り除いた「読書バリアフリー法」について言及。障害者手帳所持者に利用を限定している公共図書館制作の録音図書について、高齢者や病気療養中の人などへも提供できるようサービス拡大を準備していることを説明した。また文字情報の自動音声配信について、イギリスの放送局では多少読み間違いがあっても提供されているが「誤読に厳格な日本では認められていない」と話した。

     MASCの常世田理事長は「合理的配慮としての音声の文字変換や文字の音声変換について、障害者差別解消法は、障害者手帳を所持しているかどうかは問わない。視聴覚障害に限らず、通常の読書が難しい状況の人を対象にすべきだ」と力説した。