ユニバ・トーク

5月9日 メガネで聞く時代

 「スマートグラス」「オーディオグラス」「サングラススピーカー」など表現はさまざまだが、メガネのつるに内蔵されたスピーカーからスマートフォンの音などを再生できるメガネ型スピーカーが登場してから、無線・有線を問わずほとんどイヤホンを使わなくなった。AR(拡張現実)が映せるようなビデオ対応メガネも出てきたが、僕が愛用するのは音響メーカーとして名高いボーズのサングラス型スピーカー「Bose Frames」と国内では発売されていないサングラス大手レイバンの「Ray-Ban Stories」。カメラ搭載の後者にはビデオ撮影機能もあり、iPhoneアプリとの連携で1本30秒までだが、ビデオが保存可能だ。

     ブルートゥース(近距離無線通信)で、スマートフォンに保存した音楽やネットラジオの音を飛ばして聞けるワイヤレスイヤホンは世の中にあふれている。特にスマートフォンやパソコンをスクリーンリーダー(画面読み上げ機能)で文字を確認しながら操作する、僕らのような視覚障害者にとっては必須のアイテムだが、高音質を追求した耳穴に差し込むような密閉型イヤホンでは周囲の音が遮断されてしまうので移動中など屋外では危なくて使えない。

     最近、ソニーのLinkBudsのように耳をふさがないタイプのイヤホンも発売されているものの、そもそも動きながら使う場合、耳から外れて落下させる危険が付きまとう。ホームから線路への落とし物で特に多いのもワイヤレスイヤホンらしい。その点、メガネ型スピーカーは落下の心配がなく、耳もふさがない。音量や選曲操作などは指でメガネのつるを触るだけでできるから、スマートフォンはポケットに入れたまま。必ず片手は白杖(はくじょう)を握る視覚障害者にとってはハンズフリーでスマートフォンを操作できるのは安心だ。唯一の課題は2万5000円前後という価格だが、イヤホンのように愛用者が増えれば安価な製品も出てくるのではないかとひそかに期待している。【岩下恭士】