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スミレの香り

馳星周さんの新連載小説「スミレの香り」です。犬の訓練士をしていた男が、愛犬と各地を旅ししつけ教室などを開いている中で、事件に遭遇します。馳さんは1996年に「不夜城」でデビューし、人間や社会の暗部を描いてきました。今作では「許しについて書いてみようと思っている」と話しています。

  • /129 馳星周 画 田中靖夫

     カムイと目が合った。カムイは床に伏せ、わたしを見上げている。早く飯をよこせと控えめに訴えているのだ。「戸崎はニューオーダーの元信者たちとは完全に縁を切っている…

  • /128 馳星周 画 田中靖夫

     信号が変わるやいなや、車を発進させた。アクセルを床まで踏み込んだ。道はここから下りになる。戸崎との距離を早いうちに詰めておきたかった。しかし、どこまで走っても…

  • /127 馳星周 画 田中靖夫

     佐久市から立科町に入ると、周りの景色はさらに田舎然としてくる。左手にスーパーマーケットが近づいてくると、マーチのウインカーが点滅した。スーパーには入らず、その…

  • /126 馳星周 画 田中靖夫

     わたしは口を開くのも億劫(おっくう)で、手を振った。三嶋は頭を搔(か)きながら腰を上げ、ファミレスから出ていった。入れ替わりにやって来た店員にクラブハウスサン…

  • /125 馳星周 画 田中靖夫

     わたしは電話を切った。カムイが唸(うな)った。トイレにも散歩にも行かせてもらえず、欲求不満を訴えている。「今日は我慢してくれ」 わたしが言うと、カムイは唸るの…

  • /124 馳星周 画 田中靖夫

    「おれは車で向かう。テリーと約束した時間と場所は?」「午後四時に、東京駅の八重洲南口を出たところにあるスタバだ」「わかった」 柴田と別れようとしたところで、三嶋…

  • /123 馳星周 画 田中靖夫

     新興宗教団体は狂気に犯されたカルト集団に成り果てていたのだ。「真波とニューオーダーというのはピンと来ないな」 わたしは言った。「来るわけがないだろう」 柴田は…

  • /122 馳星周 画 田中靖夫

    「山?」「ええ。奥秩父だとか丹沢だとか、あとは山梨や長野。月曜に出社してくると凄(すご)く日焼けしていたことがあって、どこで焼いてきたんだと訊(き)いたら、山だ…

  • /121 馳星周 画 田中靖夫

    「いらっしゃいませ」 我々が入っていくと受付の女性が笑顔を浮かべた。わたしと柴田は顔を見合わせた。受付の女性の容姿まで竹内のところとそっくりだったのだ。「先ほど…

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