
ベテラン映画記者が一本の映画をさまざまな視点から論評を加えます。チャートの裏側も紹介。
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シネマの週末・この1本
ストーリー・オブ・マイ・ワイフ 愛の遍歴 重厚、精緻に
2022/8/12 13:03 1316文字1942年に出版されたハンガリーの小説を、「心と体と」のイルディコー・エニェディ監督が映画化。20年代の欧州を舞台に一組の男女の遍歴を描く文芸調のメロドラマに、ヒロインを演じたレア・セドゥが現代の息づかいを吹き込んでいる。 貨物船の船長ヤコブ(ハイス・ナバー)が結婚を思い立ち、友人といたカフェで「
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シネマの週末・トピックス
キングメーカー 大統領を作った男
2022/8/12 13:03 582文字1960~70年代の韓国を舞台にした政治ドラマである。江原道で小さな薬局を営むチャンデ(イ・ソンギュン)が、独裁政権の打倒、国の民主化を掲げる政治家ウンボム(ソル・ギョング)に共感し、彼の選挙スタッフとなる。チャンデの巧妙な策略も功を奏して国会議員に当選したウンボムは、野党内で存在感を高めていく。
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シネマの週末・トピックス
TANG タング
2022/8/12 13:03 575文字医師を目指していたものの現在は無職の健(二宮和也)は、毎日だらだらと過ごしている。ついに妻の絵美(満島ひかり)に家から追い出された彼は、庭で見つけた古いロボット、自称「タング」を製造元に持ち込めば最新型と交換してもらえると知り、福岡へと向かう。そこでタングがただの旧式ロボットではないことがわかり、
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シネマの週末・チャートの裏側
真骨頂を大胆に客観視
2022/8/12 13:03 547文字座席数が多い館内は、ほぼ満席だった。若い観客が目立つ。公開2日目の東京・新宿バルト9だ。作品は「ONEPIECEFILMRED」。新作ごとの光景とはいえ、圧倒される。若い世代の集客に、このシリーズの強さを思う。新しいファンが増えている感じがした。 2日間の興行収入を聞いて驚く。約22億5000万円
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シネマの週末・この1本
L.A.コールドケース 真相に迫る意地と悲哀
2022/8/5 13:09 1335文字1997年、米国の人気ラッパー、2パックとノトーリアス・B.I.G.が相次いで射殺された。反目していた2人の争いの結果と推測されたが、犯人は不明のまま。事件から18年後、元刑事プール(ジョニー・デップ)は警察を辞めた後も犯人を追い続けている。事件の回顧記事を担当する落ち目記者のジャック(フォレスト
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シネマの週末・トピックス
プアン/友だちと呼ばせて
2022/8/5 13:09 577文字ニューヨークでバーを経営するボス(トー・タナポップ)に、かつての親友で今はタイに暮らすウード(アイス・ナッタラット)から電話がかかってくる。白血病で余命宣告を受け、最期の頼みを聞いてほしいというのだ。ボスはウードがタイで元カノを訪ねる旅の運転手となって、思い出をたどり心残りに決着をつける手助けをす
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シネマの週末・トピックス
裸足で鳴らしてみせろ
2022/8/5 13:09 576文字父が経営する不用品回収会社で働く直己(佐々木詩音)が、市営プールで槙(諏訪珠理)という青年と出会う。槙は外国に思いをはせる盲目の養母、美鳥(風吹ジュン)と暮らしていた。やがて直己と槙はレコーダーを手にし、美鳥のために世界各地の“架空の音”を記録していく。 大学の卒業制作作品「オーファンズ・ブルース
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シネマの週末・チャートの裏側
恐竜の迫力健在、新味は
2022/8/5 13:09 551文字さすがの大ヒットだと言うべきか。「ジュラシック・ワールド 新たなる支配者」である。「ジュラシック」シリーズの6作目にして完結作だ。最初の3日間の興行収入は約13億円だった。前作は最終で81億円。シリーズの興行収入のアベレージは高い。新作はどうなるか。 1作目「ジュラシック・パーク」(1993年)は
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シネマの週末・この1本
アプローズ、アプローズ!囚人たちの大舞台 「ゴドー」と自由を重ね
2022/7/29 13:01 1343文字刑務所の受刑者が服役中に行う活動として、演劇のワークショップが開かれる。最初は渋々だった参加者がだんだん本気になり、やがて公演を成功させる――だけなら、どこかで見たようなと思っても不思議はないが、この映画、半ば過ぎあたりで公演を成功させ、早々に喝采を浴びてしまう。さてその後は。フランス映画らしいひ
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シネマの週末・トピックス
ジュラシック・ワールド/新たなる支配者
2022/7/29 13:01 572文字「ジュラシック・パーク」の公開から29年、シリーズはこの6作目で終幕を迎える。恐竜が世界中に解き放たれて4年、恐竜の保護に尽力するオーウェン(クリス・プラット)とクレア(ブライス・ダラス・ハワード)は、共に暮らす14歳のメイジー(イザベラ・サーモン)らが密猟者にさらわれ、救出へ向かう。一方、米国で
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シネマの週末・トピックス
1640日の家族
2022/7/29 13:01 580文字アンナ(メラニー・ティエリー)とドリス(リエ・サレム)の夫婦は兄弟2人の子どもたちと、里子のシモンを1歳半から4年半育ててきた。ある日、シモンの実父エディが月に1度の面会交流から、息子を再び手元で育てたいと申し出る。彼らが家族でいられる時間が限られる中、ある事件が起きてしまう。 ファビアン・ゴルジ
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シネマの週末・データで読解
前作上回る勢いで発進
2022/7/29 13:01 510文字1位は2週連続で「キングダム2 遥かなる大地へ」が獲得した。2019年4月に公開された「キングダム」の続編。前作の最終興収は57.3億円、同年公開の邦画実写1位であったが、本作の興収は前作比148%の好スタートを切り、2週目も同139%と勢いを維持している。 ヒットの背景として、まずは前作が築いた
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シネマの週末・この1本
島守の塔 「生きろ」今に響く叫び
2022/7/22 13:06 1327文字第二次世界大戦は、これまで無数の映画の題材となってきたが、ほとんどは市井の人々か、戦闘に参加した将兵の視点で描かれてきた。本作は、沖縄県知事として赴任した島田叡(あきら)と県警察部長の荒井退造が主人公。沖縄戦の中で葛藤し、県民の命を守ろうとした2人の官僚を描く。 戦況が悪化する1945年1月、島田
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シネマの週末・トピックス
アウシュヴィッツのチャンピオン
2022/7/22 13:06 563文字1940年、ワルシャワの元ボクシングチャンピオン、テディは、アウシュヴィッツ収容所に送り込まれる。ある時ボクシングの技量を見いだされ、娯楽を欲するナチス将兵のために、リングに立つことになる。テディは対戦相手を軒並み打ち倒し、報酬として手に入れた食糧や医薬品を仲間に分け与える。一方で、収容所ではユダ
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シネマの週末・トピックス
夜明けの夫婦
2022/7/22 13:06 578文字初老の夫婦と息子夫婦が同居する一軒家。嫁のさら(鄭亜美)が義理の母晶子(石川彰子)から、しきりに子作りを催促される。ところが、さらと夫の康介(泉拓磨)はセックスレス中で、康介には浮気相手がいた。やがて晶子は孫の顔が見たくて情緒不安定になり、バーからの帰りに酔ったさらは義理の父(岩谷健司)に口づけさ
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シネマの週末・チャートの裏側
古代の戦い、問いかけ重く
2022/7/22 13:06 564文字初登場トップ「キングダム2 遥かなる大地へ」が大ヒットだ。前作は、最終の興行収入が57億3000万円。圧倒的な支持を受けての2作目である。スタート4日間では、前作の169%(興行収入比較)。最終60億、70億円もありえる。3連休さなかの公開とはいえ、驚きである。 紀元前の中国が舞台だ。対立する国同
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シネマの週末・この1本
キャメラを止めるな! B級にエスプリ利かせ
2022/7/15 13:13 1312文字リメークにはたいてい文句を付けたくなるものだ。元がいいからリメークするわけで、それ以上になるのが難しいのは当然。日本で大ヒットした「カメラを止めるな!」のフランスリメーク版の本作、ミシェル・アザナビシウス監督が巧妙な手さばきで素材を調理し直して、新たな味わい。まずまずの成功例と言っていいのでは。
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シネマの週末・トピックス
炎のデス・ポリス
2022/7/15 13:13 573文字米西部の砂漠地帯に建つ小さな警察署を舞台にしたアクション映画である。マフィアに命を狙われる詐欺師(フランク・グリロ)、彼をつけ狙う殺し屋(ジェラルド・バトラー)、射撃の名手である新人女性警官(アレクシス・ラウダー)、マフィアが送り込んだサイコパス男(トビー・ハス)。この立場も思惑も異なる4者が入り
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シネマの週末・トピックス
ボイリング・ポイント/沸騰
2022/7/15 13:13 579文字クリスマス直前のロンドン。高級レストランのオーナーシェフ、アンディ(スティーブン・グレアム)は、さまざまな問題を抱えていた。妻とは別居中で最愛の息子との約束を忘れ、たくさんの予約が入っているのに衛生管理官が抜き打ち検査にやってくる。アンディはストレスフルな一夜を乗り切れるのか? レストランという空
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シネマの週末・チャートの裏側
魅力の源泉が混乱にも
2022/7/15 13:12 554文字1位の「ソー ラブ&サンダー」は、最初の3日間の興行収入が約5億9000万円にのぼった。大ヒットである。米国のマーベルコミックスを原案とするマーベル映画の新作だ。このシリーズは今作で4本目。これまで10億円を超えたのは1本のみ。今回は最高成績が期待される。 幾多の苦難を経たヒーローのソーが、スーパ
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