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パリの日常から薄れていく「コロナ」

竹内真里・フリーライター
観光客のいない凱旋(がいせん)門付近。普段は交通量が多く運転が難しいロータリーもすいている=筆者撮影
観光客のいない凱旋(がいせん)門付近。普段は交通量が多く運転が難しいロータリーもすいている=筆者撮影

 新型コロナウイルスの感染について、マクロン大統領がテレビ演説で「第1段階の勝利」を宣言した6月14日以降、フランスではかなり早いペースで日常の「平常化」が進んできた。若い世代を中心に、セーヌ川やサンマルタン運河沿いは飲み食いしながらたむろする人でいっぱいだ。飲食店も営業できるようになり、22日からはわずか2週間だけとはいえ、学校も再開。登下校の送迎時、3カ月ぶりに顔を合わせた保護者らの表情からは、外出制限の疲れはあまり感じられなかった。「長かったわね」「つらかったわ」「大変だったわよねー」と口に出し、ねぎらい合っていたが、総じて皆元気だ。

 一時と比べだいぶ緩やかになったものの、感染者は引き続き出ている。再開したものの、感染者が出て再び休校、そのまま夏休み入りした学校もある。

 私の子どもが通う現地の公立校は、「教師らはマスク着用で臨みます」などと表向きは通知していた。しかし、子どもは「先生たちはいつもマスクしてないよ。門のところに来るときだけマスクをつけてるの。友達も距離なんてとらないよ」。2週目に入ると授業はなく、教室で映画観賞やダンス、レクリエーションが行われ、クラスメートのお誕生日会ではみんな一緒にケーキやお菓子を食べ、学年末が終了した。

 教員らは「私たちは大変な状況の中、できる以上の力を出し尽くし、最善の努力をしました。子どもたちのため、親御さんらのために貢献しました」と自らを称賛する。保護者らも「最後は教室に戻…

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フリーライター

1978年千葉県生まれ。東京で外国人児童の通訳支援員などを経て、2009年からライターとして取材・執筆に従事。香港に4年滞在後、15年から在仏。日本の新聞や海外旅行情報誌に現地情報などの執筆を続けている。現在はリヨン郊外在住。