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どの病院、どの科に行ったらいい? 家族のことまで相談できる? 「かかりつけ医」を持つことのメリット

高尾美穂・産婦人科医/イーク表参道副院長
 
 

 かかりつけ医を持つことの大切さが再認識されています。なんだか調子が悪いとき、体に関して困ったことが起きたとき、すぐに相談できるのがかかりつけ医です。これからかかりつけ医を持ちたいと思ったら、何を基準にどういった医師を選んだらよいのでしょうか。産婦人科医の高尾美穂さんに聞きました。

女性は婦人科もおすすめ

 かかりつけ医は、もともと何か持病をお持ちの場合は、長く診察を受けている医師が望ましいですが、基本的にどの科の医師でもよいと思います。ですが、女性が新たにかかりつけ医を持つのであれば、婦人科もおすすめしたい選択肢のひとつです。

 特に、生理が繰り返し来ている年代の間は婦人科医がおすすめです。例えば、生理が重い、生理の周期に伴って肌が荒れる、健康診断の結果が気になる――など相談したいときに、婦人科医であれば、どれもまあまあのアドバイスができます。

 若い世代でも、生理が重くてつらいときには婦人科にかかってほしいと思います。困ったことがあったとき、いろいろな手立てでどうにか情報を得ようとするかと思います。でも、誰がいつ発信したのかわからない情報や、不確かな情報より、本人を診察した専門家からの言葉は信頼に値します。海外では、受診したくても、予約して数カ月待つこともありますが、日本ではそこまで待つことはありません。未成年であれば保険証を使うため、親に伝えるのをためらってしまう場合があるかもしれませんが、親世代も「そうなんだね」と前向きに受け止めてもらえればと思います。

 年代とともに女性の状況は変わっていきます。閉経を迎えて、女性ホルモン・エストロゲンの分泌が止まると、今度は生活習慣病のリスクが高くなります。コレステロール値が上がったり、血圧が上がったりします。ですから、そういった年代であれば、内科にもかかりつけ医がいるとより安心かと思います。

 更年期ぐらいの年代で、生理にまつわる悩みがとくになく、そこまで困った更年期の症状がないのであれば、婦人科医から内科医へと、かかりつけ医を切り替えていくのもよいかもしれません。

健康診断も受診のきっかけに

 医師に診てもらうきっかけは、人それぞれかと思います。なんらかの異常があって受診する方が多いかと思いますが、例えば健康診断の結果で気になる点があるというのも、十分な受診理由になります。

 例えば、健康診断で子宮筋腫があることがわかり、「1年に1回チェックしましょう」と結果に書かれていたとしても、心配なのであれば婦人科にかかって構いません。血液検査で「貧血」という…

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産婦人科医/イーク表参道副院長

たかお・みほ 産婦人科専門医。医学博士。女性のための統合ヘルスクリニック「イーク表参道」副院長。東京慈恵会医科大学大学院修了。同大学付属病院産婦人科助教をへて2013年より現職。日本スポーツ協会公認スポーツドクター。ヨガ指導者。婦人科診療に携わる傍ら、「全ての女性により良い明日を」をモットーに、医療・ヨガ・スポーツの三つの面から女性の健康に関する専門的な知識を分かりやすく発信している。NHK「あさイチ」などテレビ番組への出演や雑誌、SNSでの情報発信のほか、20年からは音声配信アプリstand.fm(スタンドエフエム)の番組「高尾美穂からのリアルボイス」で毎日、リスナーから寄せられる体や心の悩み、人生相談に回答している。「娘と話す、からだ・こころ・性のこと」(朝日新聞出版)、「女性ホルモンにいいこと大全 オトナ女子をラクにする 心とからだの本」(扶桑社)、「大丈夫だよ 女性ホルモンと人生のお話111」(講談社)、「心が揺れがちな時代に『私は私』で生きるには」(日経BP)、「いちばん親切な更年期の教科書 閉経完全マニュアル」(世界文化社)など著書多数。