受験人口減、定員増など 受験生追い風の中新課程控え「安全志向」強まる
2024年度(24年4月入学)大学入試は総合型選抜が始まった。
23年度は導入3年目の大学入学共通テスト(共通テスト)の平均点が回復して「安定飛行」に。
一方、翌年に「新課程」を控える24年度入試。どう動くか。

24年度入試は「旧課程」で最後の入試だ。25年度入試は新学習指導要領による「新課程」で学んだ最初の高校3年生が挑み、共通テストに「情報」などが加わる。
浪人すると、次は入試の変更がある。ならば希望を変え、難易度を下げてでも、変更前に入れる大学に入っておきたい。そんな心理が受験生に働くのは不思議ではない。ゆえに受験生は「安全志向」に動いている。
では、24年度の志望動向はどうか。7月に実施した駿台の共通テスト模試で見ると、東京大と京都大の最難関は微減、他の旧帝大に一橋大と東京工業大を加えた難関大は東日本中心に志望増。筑波大に千葉大、横浜国立大や大阪公立大など大都市圏の準難関大は志望増となっており、駿台予備学校入試情報室の石原賢一部長は「やや安全志向が働いています」と分析する。
一方、ある予備校関係者は「24年度入試は受験生にとてつもない追い風が吹いています」。現在の高校3年生は2005年生まれが中心だ。18歳人口は04年生まれより約3万4000人減っている。大学の定員は全国で合計すると約3000人の増。競争相手の減少が著しい一方、「パイ」は大きくなるのが24年度入試の特徴なのだ。
また、新課程で初実施の25年度入試では浪人生向けの経過措置が取られる。共通テストには国語、理科、英語を除く教科で、新課程で学んだ現役生と旧課程を履修した浪人生に、それぞれ問題が作られる。現役生は過去問がないのに対し、浪人生は過去問で対策ができる形だ。それだけに石原氏は「安易な妥協は結果的に損をすることになる。特に私立大専願者は第1志望を必ず受けるつもりで努力してほしい」と強気の志願を訴える。

コロナ禍の影響? 強い医学部志向
学部別の志望動向は「理高文低」傾向が続いている。特にコロナ禍による先行き不透明感が漂った近年は「就職に強い」といわれる理系学部人気が続いた。ただ、行動制限もなくなり、それも学部系統別の志望動向に表れている。受験関連企業大手の関係者は「医系や理系、農・水産系は前年を上回っており、引き続き人気が高いです。ただ、薬系や保健衛生系は前年を下回っています。両系統はコロナ禍の間は総じて人気でした。それだけにコロナ禍も理系人気も、少し落ち着きを取り戻してきたのではないでしょうか」と語る。
ただ、医学部人気は引き続き高い。ここにコロナ禍の影響が色濃く残っていると、石原氏は見ており、こう指摘する。
「現在の高3生は中2から中3に進級する時に、いわゆる『一斉休校』を経験した年代になります。一番多感な時期に、さまざまな情報から閉ざされ、多様な経験ができなかった。それだけに最初の『志』や『考え』が、あまり変わっていないのだと思います」
※駿台予備学校調べ
一定の効果ある女子枠
24年度入試は「女子枠」も注目だ。東京工業大は総合型選抜と学校推薦型選抜に女子枠を設ける。「大手予備校の今夏の模試では東工大の志望者が、前年比で1割以上の増でした。女子枠効果と思われます」と話すのは、大学通信情報調査・編集部の井沢秀部長だ。
前述の駿台予備学校入試情報室の石原氏は24年度入試の状況をこう説明する。
「名古屋大の工学部は学校推薦型選抜で、電気電子情報工学科で6人、エネルギー理工学科で3人を女子枠で募集しました。すると同選抜での女子の志願者が前者3人から9人、後者は1人から5人に増えました。やはり女子枠の効果は大きいと思います」
文系も24年度入試は、東大の文系最難関とされる文科Ⅰ類(法学部相当)で女子の合格者の割合が3割を超えた。早稲田大や慶応大でも法学部で女子の合格率が高まっており、「難関大で女子の法学部人気が高まっています」(別の予備校関係者)。文理とも女子の志望動向も注目だ。
では、受験生はどう備えるべきか。「4年目を迎える共通テストは予想もしない問題が出ることを想定し、とにかくさまざまな模試に当たってみてください。残念ながら、現役生は最後まで模試でA判定やB判定が出ない人がほとんどです。でも、逆に言えば、最後まで伸びます。諦めず志望校に向かって頑張ってほしい」と石原氏はエールを送った。
※本文は毎日新聞本紙特集(2023年9月25日付)を編集、引用しています。