将来見据え進路選択を

受験本番が近づくと、保護者も落ち着かない日々が続く。
大学入試は保護者が経験したころと大きく変化しており、不安も募りがち。
駿台予備学校お茶の水校3号館東大専門校舎の責任者、吉井素子さんに保護者に向けたアドバイスを聞いた。

正確な情報を得ることが肝要

駿台予備学校
お茶の水校3号館東大専門校舎
責任者

吉井 素子さん

大学入試を取り巻く環境は、どのように変わっていますか?

今や、受験人口はピーク時の約半数。選ばなければ大学生になれる時代になりました。だからこそ、お子さんがやりたいことや将来を見据えた大学・学部・学科選びをサポートしていただきたいです。

大学入試の現状を正確に知る必要があるということですね。

大学のオープンキャンパスや学校や予備校の保護者会などに足を運び、正確な情報を入手することをお勧めします。ホームページで、どんな学びに力を入れているか、取得できる資格や就職についても公開している大学も多いので、チェックしてみるとよいでしょう。

保護者世代が受験した「大学入試センター試験」から、「大学入学共通テスト」に変わりました。

共通テストでは、読解力や思考力を問う問題が多く取り入れられました。センター試験は暗記量を問われる出題が頻出しましたが、共通テストは知識を使って解答を導き、考えて判断する力が問われているように思います。問題文が長いことも特徴の一つです。数学であっても、長文の問題文を読解し、解答を考えなければなりません。

入試に対応する読解力をつけるサポートとは?

入試問題には、今の社会問題が取り上げられていることがあります。世の中で何が起きているのかをメディアなどの情報を得て、自分の考えを言葉で伝えられるようにしてみるのもよいでしょう。

見守り、陰からサポート

高3生は入試が間近になってきました。保護者がすべきことは何でしょう。

入試問題には、今の社会問題が取り上げられていることがあります。世の中で何が起きているのかをメディアなどの情報を得て、自分の考えを言葉で伝えられるようにしてみるのもよいでしょう。

保護者は見守り、陰からサポートをすることが大切。生活面では、子どもが規則正しい生活を送れるようにすることです。また、冬はインフルエンザが流行しやすく、コロナウイルス感染症もまだまだ気が抜けません。健康管理は家族全員で取り組んでほしいものです。

経済面では、受験費用について家族で話し合う機会を持ってください。志望校は国公立大学か、私立大学か。通学は自宅からか下宿も可なのか。それによって、費用が大きく異なります。入学金、授業料、下宿の場合は生活費と、受験後もお金は掛かり続けます。子どもも家庭の経済状況を理解しておかないと、志望校も決められません。

精神面ではつらそうな時に労いや励ましの声がけをするなど、寄り添う姿勢を大事にしてほしいと思います。

保護者は、失敗させたくないと思いがちです。もう少し頑張れば手が届くのに、早々に諦めさせるようなことを言ってしまう。これまで、志望校の受験を諦め、後悔している受験生を多く見てきましたので、第1志望の大学には最後まで粘って、挑戦してほしいです。

受験生をもつ親が
するべきこと
  • 規則正しい生活を送らせる
  • 精神的な支えになる
  • 出願スケジュールの把握
  • 受験を正しく理解する
  • やってはいけないこと
  • 頑張りを否定する
  • 干渉のし過ぎ
  • 価値観の押しつけ
  • 勉強に口を出し過ぎる
  • 国も大学も進める学費支援

    大学進学の際に学費をどう工面するかは、どの家庭にとっても関心事だろう。国は2020年度から始めた、授業料などの減免と給付型奨学金からなる修学支援制度を24年度から拡充する見通しだ。事前予約型奨学金など独自の奨学金制度に力を入れる大学も多い。

    国は20年度から、低所得世帯向けに「高等教育の修学支援新制度」をスタートさせた。対象は年収約380万円未満の世帯。たとえば、年収約270万円未満の住民税非課税世帯のうち、私立大学生1人を含む子ども2人の計4人の家庭の場合、最大で入学金約26万円、授業料約70万円が減免され、最大で年額約91万円の奨学金が支給される。年収約300万円未満では支援額がその3分の2、年収約380万円未満では3分の1となる。

    24年度からは、現行の三つの区分に、新たに四つ目の区分を設ける。対象になるのは、年収約600万円までの世帯のうち、多子世帯と、私立の理工農系の大学生がいる世帯だ。

    学生本人を含め扶養される子どもが3人以上いる多子世帯は授業料減免と給付型奨学金を上限額の4分の1、最大で合計約40万円の支援を受けられる。また、私立大で人文・社会科学などの文系よりも授業料が高い理工農系で学ぶ学生は、文系との授業料の差額が支援される見込み。

    国の修学支援とは別に、各大学でもさまざまな奨学金制度を導入しているので、大学案内やホームページで確認してほしい。

    ※本文は毎日新聞本紙特集(2023年9月25日付)を編集、引用しています。