数年前、憧れの先輩から「いつもありがとう」のメッセージと可愛いリスがパッケージに描かれたクッキーをもらった。手描きのイラストのパッケージは珍しいなと思うと同時に、優しい彼女らしいすてきな贈り物に心が温かくなった。それ以来、私の手土産の定番品となったのが、「西光亭」のクッキーだ。
今回は、もらった人が自分の周りの人にも贈りたくなる、顧客が顧客を呼ぶ西光亭のクッキーをヒントに、商品開発の極意について考えていく。
今日のヒント スイーツ専門店「西光亭」
西光亭は1982年、東京・代々木上原に欧風家庭料理のレストランとして創業した。メニューの中でも手作りのデザートが評判で、テークアウト用を販売してほしいという声が多かったという。
そんな中、常連客だった芸能人がテレビや雑誌でおすすめの品として紹介してくれる機会が度々あり、2000年ごろからテレビ局主催のデパートの催事で定期的にゼリーやプリンなどの冷菓を販売するようになった。
03年、テレビ番組で同店のミルクゼリーが「芸能人御用達のお土産 第2位」に選ばれ、注文が殺到。全て手作りしているため、1万件を超える注文の対応に半年かかったという。
こうして、西光亭はレストランからスイーツ専門店に転換することになった。
ドリンクおかわり時のサービスが看板商品に
デパートでの出店を経験するうちに、冷菓より焼き菓子が適していると気付き、レストラン時代にサービスとして時々提供していたクッキーを商品化することに決めた。
まず、搬入時にクッキーが崩れないよう、箱に入れ、粉糖をたっぷりまぶすことでクッション代わりにしようと考えた。
おいしいクッキーは他でも売っている。そこで、当時、珍しかったリスをモチーフにした絵をパッケージに入…
この記事は有料記事です。
残り2740文字(全文3474文字)