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足元見られた欧州「ロシア天然ガス」頼るしかない事情

平野純一・週刊エコノミスト編集部記者
ドイツはロシアの天然ガスに大きく依存。写真はドイツのショルツ首相=ロイター
ドイツはロシアの天然ガスに大きく依存。写真はドイツのショルツ首相=ロイター

天然ガスの基礎知識(2)

 「ロシアはいずれガスを武器に使うと、アメリカなどからずっと言われてきました」。こう話すのは、世界の天然ガス事情に詳しい石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の白川裕・調査役だ。対露経済制裁を強めたくても、ロシアからパイプラインで送られてくる天然ガスに依存せざるをえない欧州の複雑な現実を白川氏に聞いた。

 --欧州はロシアへの天然ガスに大きく依存しています。

 ◆欧州は天然ガス輸入の56%をロシアに頼っています。天然ガスは欧州域内でも生産でき、ノルウェーやオランダなどではガスが出ます。域内生産は4割と意外と多く、残りの6割が輸入です。欧州が使う天然ガス全体でロシア産の割合は34%ですが、輸入分だけでみると半分以上をロシアに依存していることになります。

 パイプラインで輸入する天然ガスについて、ロシアへの依存度が高い国は、ドイツの55%、イタリア39%、オランダ29%などとなっています。

LNG輸入を増やすことは難しい

 --ロシア以外ではどこから輸入しているのでしょうか。

 ◆パイプラインでつながって輸入できる国は、ロシア以外では、アゼルバイジャン、アルジェ…

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週刊エコノミスト編集部記者

1962年生まれ。87年毎日新聞社入社。盛岡支局、サンデー毎日編集部、経済部、週刊エコノミスト編集部などを経て2016年から経済プレミア編集部。23年2月から現職。金融、為替、証券、マクロ経済などを中心に取材。