年をとると、親の権威は弱まる。自分の気力体力に自信がなくなり、子供たちの力に頼ることが多くなるからだ。生活資金の出し入れや生活用品の買い出し、病院に通うのにも子供頼みになる。子供に指図していたころとはまったく逆の立場だが、これが世代交代というものだろう。
財産管理を任された子供たちは、親の財産にも遠慮なく口を出すようになる。相続税を負担するのは自分たちで、親ではない。その負担を軽くするために、生前贈与で早めに親から財産を取り上げ、節税する。「1円でも税金を節約し、財産を引き継ぎたい」−−それが相続人である子供の本音だ。
相続税節税のため、銀行融資を受けて不動産に投資させたり、建物を造らせたりもする。やりすぎると税務リスクも生じる。そんな目にあったA子さん(89)の事例を紹介する。
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