高齢化時代の相続税対策 フォロー

弱気な母親の財産を勝手に分け合う娘2人の“強欲”

広田龍介・税理士

 年をとると、親の権威は弱まる。自分の気力体力に自信がなくなり、子供たちの力に頼ることが多くなるからだ。生活資金の出し入れや生活用品の買い出し、病院に通うのにも子供頼みになる。子供に指図していたころとはまったく逆の立場だが、これが世代交代というものだろう。

 財産管理を任された子供たちは、親の財産にも遠慮なく口を出すようになる。相続税を負担するのは自分たちで、親ではない。その負担を軽くするために、生前贈与で早めに親から財産を取り上げ、節税する。「1円でも税金を節約し、財産を引き継ぎたい」−−それが相続人である子供の本音だ。

 相続税節税のため、銀行融資を受けて不動産に投資させたり、建物を造らせたりもする。やりすぎると税務リスクも生じる。そんな目にあったA子さん(89)の事例を紹介する。

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税理士

1952年、福島県いわき市生まれ。85年税理士登録。東京・赤坂で広田龍介税理士事務所を開設。法人・個人の確定申告、相続税申告、不動産の有効活用などを中心に幅広くコンサルティング活動を続けている。相続税に関する講演やセミナーも開催している。