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生活保護申請で「すみません」と頭を下げ続ける24歳

藤田孝典・NPO法人ほっとプラス理事
最低賃金引き上げを求めるのぼり=JR新宿駅東口で、戸嶋誠司撮影
最低賃金引き上げを求めるのぼり=JR新宿駅東口で、戸嶋誠司撮影

貧困は固定化している(3)

 大手住宅メーカーの正社員営業職の男性(24)から相談がありました。東京の有名大学を卒業して勤めていましたが、営業職として建築やリフォームの仕事を取ってくるノルマがきつく、2年目にメンタルをやられてしまいました。今は休職中です。

 会社には営業職部隊が100人近くいて、成績が悪いと退職を勧奨されることもあるほど競争が厳しかったそうです。一生懸命やっていたのですが、上司に「前月より成績が悪い」「能力がない、辞めろ」というパワハラを受けていました。その結果、ある日の朝起きられなくなり、それから会社に行けなくなりました。

 まじめな青年です。がんばって長時間働いていましたが、だんだん疲れてきて。職場では先輩もどんどん辞めていました。先輩のノルマが自分にかぶさり、さらに自分のノルマにも追われ、疲れてしまった。

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NPO法人ほっとプラス理事

1982年生まれ。NPO法人ほっとプラス理事。ソーシャルワーカーとして現場で生活困窮者支援をしながら、生活保護や貧困問題への対策を積極的に提言している。著書に「貧困クライシス 国民総『最底辺』社会」(毎日新聞出版)「下流老人 一億総老後崩壊の衝撃」「ひとりも殺させない」「貧困世代 社会の監獄に閉じ込められた若者たち」など。